2007 Fiscal Year Annual Research Report
マラリアにおけるマクロファージマンノースレセプターの機能解明
Project/Area Number |
19590426
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀井 加恵子 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (00214544)
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Keywords | マラリア / マクロファージマンノースレセプター / 脳マラリア / サイトカイン |
Research Abstract |
マクロファージマンノースレセプター(MMR)はバイファンクショナルなレクチンであり、システインリッチドメインは酸性糖質、C型レクチンドメインはマンノースやフコースなどに結合し、免疫にも関与している。マラリアにおけるMMRの機能を解明するためマラリア原虫Plasmodium berghei ANKAの感染実験を行った結果、野性型C57BL/6マウスは1週間程度で死亡するのに対し、MMRノックアウトマウス(C57BL/6)(-/-)は感染後約3週間程度まで生存することを見出した。野生型の死亡原因は脳性マラリアであることが報告されている事から、マラリアの重症化、特に脳性マラリアの進展にMMRが深く関わっているとえられる。 MMRがマラリアの重症化を引き起こす機構を解明するため、感染宿主の炎症反応を解析した。ELISAおよびRT-PCRによってマラリア感染時における各種サイトカインの発現レベルを検討した結果、野性型マウスに比べるとMMRノックアウトマウスではTh-1型サイトカイン(interferon、 tumor necrosis factor)の発現量が高く、逆にTh-2型サイトカイン(IL-4,IL-10)の発現レベルは低いことが示された。重症マラリアが発症するメカニズムの多くは未解明であるが、宿主のサイトカイン産生を含む宿主と原虫の複雑な相互作用が関与していることが知られている。近年、Th-1型サイトカインが重症マラリアの進行を促進することが報告された。一方、Th-2型サイトカイン(IL-4,IL-10)は脳マラリアを抑制することが示されている。これらの報告と本研究成果から、MMRはマラリア感染時におけるサイトカインの産生に関与しており、その結果、Th-1型サイトカインとTh-2型サイトカインのバランスが崩れるためにマラリアが重症化するものと考えられる。
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Research Products
(4 results)