2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工抗原組換え原虫を用いたマラリア防御免疫エフェクター機構の解析
Project/Area Number |
19590430
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
由井 克之 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90274638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30398151)
木村 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50423637)
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Keywords | マラリア / 感染 / 原虫 / T細胞 / 病原性 / 遺伝子組換え / 脳 / 抗原提示 |
Research Abstract |
マラリア感染における抗原特異的免疫応答を解析するためのモデル実験系を作成する目的で、モデル抗原卵白アルブミン(ovalbumin, OVA)の組換えマラリア原虫Plasmodium berghei ANKA(PbA)を作成した。OVA発現部位として、細胞質内、原虫細胞膜上、感染赤血球内に発現させるためのコンストラクトを作成し、遺伝子導入を行ったが、実際に発現を確認できたのは原虫細胞質内発現コンストラクトのみであった。 このOVA発現マラリア原虫OVA-PbAを用いて、T細胞の免疫応答について解析を行った。OVA特異的T細胞受容体トランスジェニックマウスOT-IのCD8細胞をB6或いはTAP遺伝子欠損マウスに受け身移入し、OVA-PbA感染実験を行ったところ、B6マウスでOT-I細胞の特異的な活性化、細胞傷害性T細胞への分化が見られたことから、マラリア原虫感染時抗原特異的CD8^+T細胞はTAP依存的なクロスプレゼンテーションを受けて活性化する事が明らかになった。B6マウスに移入されたOT-I細胞は、野性型PbA感染でも弱いながら活性化を示した。さらに、この活性化にはNK細胞が関与することが、抗体によるNK細胞除去実験から明らかになった。 マラリア赤内型感染の重症化要因である脳マラリアの発症にはD8^+T細胞が関与することが知られている。本研究においても、OVA-PbA感染により脳マラリアを発症したマウスの脳には、活性化OT-I細胞の集積が観察された。一方、OVA-PbAに感染したOT-1/Rag2 KOマウスは、顕著な脳マラリア症状を示さないものの野性型PbA感染マウスより早期に死亡したことから、マラリア特異的T細胞の活性化が宿主の病原性に関与することが示唆された。
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