2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590436
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奈良 武司 Juntendo University, 医学部, 准教授 (40276473)
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Keywords | トリパノソーマ / 遺伝的多様性 / 1塩基置換(SNPs) / 遺伝子重複 / ピリミジン生合成酵素 |
Research Abstract |
【目的】中南米に広く分布する風土病、シャーガス病の病原体クルーズトリパノソーマにおける遺伝的多様度を明らかにし、それを生成する遺伝機構を解明する。【導入】クルーズトリパノソーマは性を持たない2倍性の生物であり、遺伝的に6系統(I、IIa〜IIe)に分類される。その特徴として、1)系統間で塩基多型度が大きい一方、2)個体内では同一遺伝子のコピー間の塩基多型度は小さいことが報告されている。本研究ではこのような遺伝学的特徴を与える機構を解明すべく以下の研究を行なった。【方法】ピリミジン生合成経路の第4酵素dihydroorotate dehydrogenase (DHOD)遺伝子をモデルとして、同原虫分離株について各株の持つ遺伝子コピー数およびコピー間の遺伝的多様度を解析した。昨年度配列決定が終了した系統Iの1株、IIbの2株、IIe(IIbとIIcのハイブリッドと考えられている)の2株に加え、本年度はCANIII CL2株(系統IIa)について、ゲノムライブラリーよりDHOD遺伝子を単離して各遺伝子クローンの塩基配列を決定し、遺伝子多型の解析を行なった。【結果】CANIII CL2株においてもDHOD遺伝子は4コピー存在し、コピー間で複数の1塩基置換(SNPs)が認められた。DHODの分子系統解析を行なったところ、系統Iおよび系統IIaのDHOD遺伝子はそれぞれ単系統を形成した。一方、系統IIbの2株は株間よりも同一株内での遺伝的多型度が大きく、興味深いことに系統IIbの一部の配列は系統IIeの一部の配列と100%一致した。この結果は、系統IIbの出現は比較的古く、株間で1塩基置換が蓄積していること、系統IIeを生じたハイブリッド形成がごく最近になって起きたことを強く示唆しているが、結論を出すには至っていない。今後、系統とその株数を増やし、より詳細な解析を行なっていく必要がある。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Pulmonary paragonimiasis with coincidental malignant mesothelioma2008
Author(s)
Yamazaki M, Ohwada A, Miyaji A, Yamazaki H, Nara T, Hirai s, Fujii H, Uekusa T, Suzuki M, Iwase A, Takahashi K
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Journal Title
Intern Med 47(11)
Pages: 1027-1031
Peer Reviewed
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