2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いたセレウス菌の病原遺伝子保有状況ならびにその発現解析
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19590442
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥居 啓三 Nagoya University, 医学部附属病院, 准教授 (80324440)
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Keywords | セレウス菌 / ゲノム / 病原性 |
Research Abstract |
セレウス菌Bacillus cereusはヒトにおいて食中毒の原因菌となる病原細菌である。セレウス菌による食中毒は臨床的に嘔吐型と下痢型に分類される。我々は嘔吐型食中毒事例より分離されたセレウス菌の全ゲノム解析から嘔吐毒素であるセレウリドの合成系が染色体ではなくプラスミド上にコードされていることを見いだした。さらに嘔吐型セレウス菌と非嘔吐型セレウス菌のセレウスグループ細菌における遺伝的背景を探る目的で、近年細菌の分子疫学に汎用されるmultilocus sequence typingという手法を用いて染色体の解析を行ったところ、嘔吐型セレウス菌が4つのsequence type(ST26,165,144,164)に集約され非常にクロナリティの高い集団を形成するのに対し、非嘔吐型(嘔吐毒素を持たない)のセレウス菌株は多様性に富むことがわかった。そこで、染色体の遺伝子構成をさらに検討する目的でセレウス菌NC7401株の全ゲノム配列の情報をもとにDNAマイクロアレイを作成し、comparative genomic hybridizationにより嘔吐型、ならびに非嘔吐型セレウス菌の解析を行った。MLSTの結果と同様CGHにおいても嘔吐型のセレウス菌同士は相同性が高いのに対し、非嘔吐型は株間で相同性が低い結果となった。特に嘔吐型セレウス菌は近縁菌の炭疽菌とも高い相同性を示すことから、嘔吐型の詳細な検討により病原性の発現に関与する遺伝子の解明にも繋がると考えられるため、現在データの詳細な解析をおこなっているところである。
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