2008 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラユビキチンリガーゼの発現と輸送の分子機構
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19590446
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 宏樹 Osaka University, 微生物病研究所, 特任准教授 (80222173)
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Keywords | レジオネラ / エフェクター / IV型分泌 / ユビキチン / プロテアソーム |
Research Abstract |
レジオネラによる肺炎は汚染された温泉などを原因とするアウトブレイクで問題となっている新興感染症である。レジオネラは宿主細胞が持つ貧食作用により侵入した後、ファゴソームを改変してつくりだしたオルガネラの内部で増殖する。このプロセスにはレジオネラの持つDot/Icm IV型分泌系が必須であり、これが宿主細胞内増殖を可能にするエフェクタータンパク質を輸送している。このようなエフェクタータンパク質の一つであるLubXは、E3ユビキチンリガーゼのモチーフの一つであるU-boxを二度繰り返す特徴的な配列を持ち、C末に輸送のためのシグナルとして機能すると考えられるC末ドメインを持つ。また、LubXは感染後初めてその発現が誘導され、感染前にすでに発現している他のエフェクターと大きく異なる。LubXと相互作用するレジオネラタンパク質を探索した結果、驚いたことにLubXの基質結合Uboxドメインと結合する別のエフェクターSidHを見いだした。当初の目論見からは外れるが、SidHはLubXの発現制御には関与しなかった。一方で、SidHは感染直後に宿主細胞内へ輸送されるが、遅れて発現・輸送されてくるLubXによりポリユビキチン化され、宿主プロテアソームにより分解されることを明らかにした。すなわち、エフェクターLubXは別のエフェクターSidHの宿主細胞内レベルを制御する、時間制御因子として機能している。このようなエフェクターを標的とし制御するエフェクターは、既存のエフェクターの定義を超えるものであり、我々はメタエフェクターと呼ぶことを提唱している。
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