2007 Fiscal Year Annual Research Report
偏性細胞内寄生細菌・リケッチアの宿主特異性に関与する分子種の解明
Project/Area Number |
19590448
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内山 恒夫 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90151901)
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Keywords | リケッチア / 宿主特異性 / 紅斑熱群 / 発疹チフス群 / 昆虫細胞 / マダニ細胞 / Sca / RickA |
Research Abstract |
リケッチアの宿主特異性と関与する分子種を明らかにする目的で、まず下記の細胞種に対する各リケッチアの付着侵入能、増殖能を調べた。(i)発疹チフス群リケッチアのベクターはシラミ、ノミであるが、株化細胞が存在しないため同じ昆虫類の蚊由来のNIAS-AeA1-2細胞。(ii)紅斑熱群リケッチアのベクターであるマダニ由来のDALBE3細胞、ISE6細胞。(iii)ヒトのリケッチアの標的である血管内皮細胞のECV304細胞。これらに紅斑熱群リケッチアR.japonica、R.conorii、あるいは発疹チフス群リケッチアR.prowazekii、R.typhiを接種し、付着侵入、増殖を調べた。その結果、付着侵入は全ての組み合わせで起こるが、増殖能はベクターとリケッチア群との関係と一致していた。すなわち、ヒト血管内皮細胞では両群リケッチアとも増殖した。また、紅斑熱群リケッチアはマダニ細胞内でのみ増殖が見られ、逆に発疹チフス群リケッチアの増殖は昆虫細胞内でのみ認められた。この成果により宿主特異性が細胞レベルで研究できることが示された。さらに、紅斑熱群リケッチアの昆虫細胞での増殖阻害は、リケッチアの付着侵入後に惹起されるアポトーシスともネクロトーシスとも異なる形態学的にはネクローシス様の細胞死が原因であることも明らかとなった。これらの細胞レベルでの宿主特異性に関与する分子種を解明する目的で、関与が推測されるSca外膜タンパク質群、RickA外膜蛋白質を菌体表面に発現する組換え大腸菌の作製を試みた。各ORFを発現ベクターpET-22b(+)のpelBリーダー配列の下流に挿入して得られたベクターで大腸菌をトランスフォームし、各蛋白質を外膜上に発現する大腸菌を得た。これらを用いて今後各細胞種への付着侵入、増殖の動態を調べ、レセプター同定、シグナル伝達の解析を行う。
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Research Products
(3 results)