2008 Fiscal Year Annual Research Report
偏性細胞内寄生細菌・リケッチアの宿主特異性に関与する分子種の解明
Project/Area Number |
19590448
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内山 恒夫 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90151901)
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Keywords | リケッチア / 宿主特異性 / 紅斑熱群 / 発疹チフス群 / 昆虫細胞 / マダニ細胞 / Sca / RickA |
Research Abstract |
リケッチアと宿主(ベクターのダニ、昆虫、哺乳動物)との関係、すなわち、リケッチアの宿主特異性を明らかにする目的で、関与すると考えられる分子種について解析を行った。まず下記の細胞種に対する各リケッチアの付着侵入能、増殖能を調べた。(i)発疹チフス群リケッチアのベクターはシラミ、ノミであるが、株化細胞が存在しないため同じ昆虫類の蚊由来のNIAS-AeAl-2細胞。(ii)紅斑熱群リケッチアのベクターであるマダニ由来のDALBE3細胞、ISE6細胞。(iii)ヒトのリケッチアの標的である血管内皮細胞のECV304細胞。その結果、付着侵入は全ての組み合わせで起こるが、増殖能はベクターとリケッチア群との関係と一致していた。これらの結果から、宿主特異性が細胞レベルで研究できることが示されたため、これらの細胞レベルでの宿主特異性に関与する分子種を解明することを目的として研究を進めた。多くのパラログを持つSca外膜タンパク質群とRickA外膜蛋白質を菌体表面に発現する組換え大腸菌の作製を試み、そのうちのいくつかについて組換え大腸菌を作製することが出来た。これらのあるものは宿主細胞特異的な付着侵入に関与するという示唆を得ている。また、各宿主細胞にR. conoriiを接種したところ宿主細胞内にArp2/3複合体、Cdc42、ホスホイノシチド3-キナーゼ、c-Src、コータクチン、チロシンリン酸化蛋白質等のアクチン重合に関係する蛋白質が特異的に発現誘導されることが示唆された。これらの結果は、リケッチアと宿主細胞との相互作用を知る上で重要な知見である。
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