2007 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の難培養性アナプラズマ症起因細菌のゲノム部分構造解析と簡易探索ツールの開発
Project/Area Number |
19590451
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
大橋 典男 University of Shizuoka, 食品栄養科学部, 教授 (10169039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 俊幸 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10181645)
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Keywords | 遺伝子 / 感染症 / ゲノム / 細菌 / 微生物 |
Research Abstract |
新興感染症「アナプラズマ症」は、マダニにより媒介される発熱性疾患で、その病原体は顆粒球に感染する偏性寄生性のAnaplasma phagocytophilumである。本研究では、我が国の難培養性A. phagocytophilumの全ゲノム配列の解読を視野に入れ、現在の遺伝子解析技術を駆使して、自然界に生息するマダニ等から得られたA. phagocytophilumゲノムの部分構造を明らかにすることを目的とした。A. phagocytophilumこは、「p44/msp2 multigene family」と呼ばれる本菌特有の主要外被膜蛋白遺伝子群が存在する。これは、ゲノム上に散在する多数のp44/msp2相同性遺伝子カセット群がゲノム上の1箇所のp44/msp2主要発現領域(約7kb)で組換えられ、生体内でA. phagocytophilumの抗原変異を引き起こすものである。ゲノム上におけるこのp44/msp2発現領域の構造は、米国と欧州のA. phagocytophilumで明らかになっているが、アジア地域のA. phagocytophilumの報告はない。平成19度度の研究では、A. phagocytophilum DNAが検出された国内のマダニの唾液腺DNAからp44/msp2発現領域の構造解析を試みた。その結果、東北地方で採集したシュルツェマダニ2個体からp44/msp2発現領域が増幅でき、最終的にそれぞれ約4kbの塩基配列の解読に成功した。これらを欧米のA. phagocytophilumのものと比較すると、東北地方のA. phagocytophilumの発現領域はp44/msp2相同性遺伝子カセットに相当する中心部分以外の塩基配列が欧米のものと比較的類似しており、特に欧州のものと近いことが判った。一方、静岡県で採集したシュルツェマダニ1個体からもA. phagocytophilumのp44/msp2発現領域が解析できたが、この場合は欧米のA. phagocytophilumの塩基配列を基にして設計したPCRプライマーがうまく働かず、代ってゲノムウォーキング法を駆使して、約3kbのp44/msp2発現領域の塩基配列を決定した。この静岡県のマダニからのp44/msp2発現領域の配列は欧米のものとはかなり異なっていた。この結果は、日本国内には欧米(特に欧州)に比較的近いA. phagocytophilumと日本固有A. phagocytophilumが存在していることを示唆している。このように、本年度は、これまで国内のマダニから得られた宿主DNA混じりのA. phagocytophilumゲノムを用いて、p44/msp2主要発現領域の解析法の確立に成功した。
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Research Products
(3 results)