2007 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌多剤排出ポンプを阻害する抗体および有機低分子化合物の開発
Project/Area Number |
19590458
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
良原 栄策 Tokai University, 医学部, 准教授 (70167063)
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Keywords | 緑膿菌 / 多剤耐性 / 多剤排出ポンプ / MexAB-OprM / 細胞外ループ / ペプチド抗原 / モノクローナル抗体 / ポンプ阻害剤 |
Research Abstract |
感染症が再び大きな脅威となってきているが、その原因の一つが菌の多剤耐性化にある。日和見感染の主要起因菌である緑膿菌も多剤耐性を示し、化学療法が有効に機能せず大きな問題となっており、その対策が急務となっている。緑膿菌の多剤耐性に大きく関与するのが多剤排出ポンプであり、本菌の主要な排出ポンプはMexAB-OprMである。OprMは外膜で薬剤透過のチャネルを形成するが、細胞に露出するループ領域を二箇所もち、それぞれ10アミノ酸残基からなる小さな領域である。これらループはポンプの機能に重要な役割を果たすこと、さらに基質の認識にも関与することを、変異導入実験から明らかにした。さらにこの知見はループがポンプ阻害の標的になり得ることも示唆する。 そこでループに結合する抗体が阻害剤として機能する可能性を考えた。まずループと同じ配列を有するペプチドを作成し、これを抗原としてモノクローナル抗体の作成を試みた。その結果、ペプチドに結合活性を有する抗体を産生する約20クローンのハイブリドーマを調製することができた。これら細胞の培養上清からGプロテインカラムを用いてモノクローナル抗体(mAb)を精製し、これらmAbを用いてMexAB-OprMポンプ機能の阻害効果を以下のようにして検討した。抗生剤であるアズトレオナムをサブMIC濃度になるように緑膿菌に加え、そこへmAbを添加し一定時間培養後、プレートに播いて生菌数をカウントした。その結果、mAb存在下で生菌数が減少し、その程度はmAb濃度に依存することがわかった。さらに、このポンプの基質ではないイミペネムを同様の方法で調べた結果、mAbはこの抗生剤の有効性には何ら影響を及ぼさなかった。 以上の結果から、今回開発したmAbはMexAB-OprMに特異的に作用して、その機能を抑える阻害剤として機能することが示された。
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Research Products
(2 results)