2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌β毒素の免疫系細胞の受容体ーシグナル伝達系に対する作用機構の解析
Project/Area Number |
19590462
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
永浜 政博 Tokushima Bunri University, 薬学部, 准教授 (40164462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90170315)
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Keywords | ウエルシュ菌 / β毒素 / THP-1細胞 / ホスホリパーゼC / 脂質ラフト / ポアー形成 |
Research Abstract |
β毒素の細胞毒性機構を明らかにするため、本毒素がシグナル伝達系にいかなる影響を与えてるかを検討すると、HL-60細胞を本毒素で処理すると、約5分で内因性ホスホリパーゼC (PLC)の活性化が認められ、また、本毒素の細胞毒性はPLC阻害剤で有意に阻害された。次に、毒素によるホスホリパーゼCの活性化の結果、生じたイノシトール3-リン酸(IP3)は、細胞内貯蔵Caイオンの細胞質への遊離促進と遊離したCaイオンが細胞膜のCaチャネルから外液Caイオンの流入を誘導することが知られている。そこで、β毒素による細胞内Caイオン濃度の変化を測定するため、HL-60細胞にCaイオン蛍光試薬であるFura-2を取り込ませ、細胞内のCaイオン濃度の変化をリアルタイムに観察すると毒素処理で、急速な細胞内Caイオン濃度の上昇が認められた。さらに、本毒素による細胞からのサイトカイン遊離を測定すると、TNF-αのmRNA増加とTNF-α遊離促進作用が認められた。すなわち、β毒素は、細胞膜のラフトでオリゴマーを形成して受容体を刺激して内因性ホスホリパーゼCの活性化を誘導する。その結果、生じたIP3が細胞内Caイオン濃度を上昇させ、さまざま、シグナル伝達系の活性化が引き起こされTNF-αのmRNA合成促進により、細胞外へのTNF-αの遊離を促進する。さらに、種々のイオンの流出入により細胞が膨化し、細胞毒性を示すことが明らかとなった。すなわち、β毒素のオリゴマーによるポアー形成と本毒素のシグナル伝達系の活性化が重要であることが判明した。
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Research Products
(5 results)