2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590464
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
新見 昌一 National Institute of Infectious Diseases, 生物活性物質部, 室長 (30118088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 公一 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究員 (80370964)
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Keywords | 病原真菌 / Candida albicans / ABCタンパク質 / アゾール系抗真菌薬 / 薬剤耐性 / ABCタンパク質阻害剤 / FK506 / 異種タンパク発現系出芽酵母 |
Research Abstract |
病原性真菌Candida albicansのABCタンパク質であるCaCdr1pを大量発現する出芽酵母(AD/CaCDR1)を、基質であるfluconazoleと阻害剤であるFK506を含む寒天培地上で培養すると、FK506非感受性化株が出現する。非感受性化株のCaCDR1遺伝子をPCRによって増幅し、親株(AD1-8u^<->株;以後AD株)に導入し、遺伝子導入株がFK506に対して非感受性になるかどうかを調べた。非感受性化株のCaCDR1遺伝子のORFの塩基配列を決定したところ、ORF上には少なくとも1箇所以上の1アミノ酸置換を引き起こすような変異が認められた。同定された遺伝子変異は、ほぼ全てが細胞外領域あるいは細胞外に近接した膜貫通領域に集中しており、これまでに報告のあったFK506非感受性化変異とは全く異なるものであった。一番目の細胞外領域に遺伝子変異をもつ変異タンパク質発現株の中には、イオノフォアであるnigericinに対する感受性が特異的に低下するものがあった。それらの遺伝子変異は4アミノ酸以内の領域に集中しており、nigericinとの相互作用部位であることが推測された。また、野生型AD/CaCDR1細胞からの蛍光基質rhodamine 6Gの排出活性はFK506の添加によって阻害されたが、変異AD/CaCDR1細胞からのrhodamine 6Gの排出はFK506によって阻害を受けなかった。さらに、膜画分を用いたATPase活性の測定においても、FK506は野生型のCaCdr1pの酵素活性を濃度依存的に阻害したが、変異CaCdr1pの活性は阻害しなかった。以上の、薬剤感受性試験、阻害剤の相互作用実験から、本実験で検出された遺伝子変異はFK506による阻害効果を特異的に無効にする部位、おそらくはFK506との相互作用部位を示していると考えられた。
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Research Products
(5 results)