2008 Fiscal Year Annual Research Report
非・低病原性ウイルスによる持続感染がタイ北部のエイズ患者に及ぼす影響
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19590477
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 昌子 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60322301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森内 浩幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90315234)
有吉 紅也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30311400)
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Keywords | 感染症 / 個体疫学 / ウイルス / 微生物 / 免疫学 |
Research Abstract |
(1)2000年7月〜2002年10月にタイ国ランパン県ランパン病院HIV外来を受診し、コホート研究参加に同意した、多剤併用抗HIV療法未実施の全てのHIV陽性患者756名を対象とした。エントリー時にCD4数、HIVウイルス量を測定し、カルテより患者情報を得た。756名中血漿検体が得られた712名についてRNAを抽出し、GBV-C特異的5'-NCR primer setを用いたreal-time RT-PCRを施行し、さらにGBV-C陽性例においてEnv領域のシーケンスにより遺伝子型同定実験を実施した。その結果、GBV-C陽性率は67名(9.4%)で、G2型が19名(28%)、G3型が33名(49%)、G4型が15名(22%)であった。 (2)これらのGBV-C実験データをコホート患者の臨床データへ連結し、GBV-C共感染がCD4数とHIVウイルス量および生存予後に及ぼす影響を解析した。GBV-C共感染者群は、非共感染者群に比較して有意にHIVウイルス量が低く(中央値88056vs161251;p=0.03)、CD4数が多く(251vs126;p=0.005)、生存予後が良好(Kaplan-Meier生存曲線解析)だった。さらに、GBV-C共感染者の中でもGBVウイルス量が多い(100コピー以上)群とGBV-C陰性者群で比較すると、CD4値でp=0.0002、HIVウイルス量でp=0.007と結果はさらに強く現れた。また、HIVウイルス量では有意差が出なかったが、G2型はG3、4型に比較し有意にCD4数が多く(275vs139,p=0.01)、G2型群においてのみ生存予後が良かった(K-M生存解析)。 (3)GBV-C陽性の抗HIV抗体陰性配偶者においては、GBV-C陽性者が多く、またG2型が全体の50%と、G2型が多い傾向にあった。GBV-C既感染、特にG2型はHIV-1感染を抑制することが示唆された。 (4)感染性分子クローンを用いたin vitroの実験系において、G2,G3,G4全ての型でGBV-C共感染はPBMC培養におけるHIV感染を抑制したが、その中でG2型が最も強力な抑制作用を示した。
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