2008 Fiscal Year Annual Research Report
エイズウイルスに対する中和抗体の新しい作用機序の解析
Project/Area Number |
19590478
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 信志 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (60173085)
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Keywords | エイズ / ウイルス / 中和抗体 / レセプター / 吸着 / fusion pore / 膜流動性 / 感染性 |
Research Abstract |
これまでの研究成果として、HIV-1の特異的中和抗体である抗V3抗体や非特異的中和抗体である抗HLA-II抗体がHIV-1粒子に作用したとき、ウイルスエンベロープの脂質二重膜流動性を低下させることを報告してきた。これら中和抗体が脂質二重膜へ附着することによりウイルスの侵入を妨げているものと思われたが、この膜への影響をさらに詳しく調べるためウイルス粒子のかわりに細胞を使用し、細胞膜に附着する抗体の細胞膜の流動性へ与える影響を調べた。 細胞としてHLA-IIやHTLV-Iのエンベロープ糖蛋白を細胞膜上に発現しているMT-2細胞を用いた。反応させる抗体は抗HLA-II抗体やHTLV-Iの中和抗体であるLAT27や非中和抗体であるLAT12を使用した。MT-2細胞を5-doxyl stearic acidでラベルし、抗体を作用させ、細胞膜の流動性をESRで測定した。中和作用を有した抗HLA-II抗体はMT-2細胞の膜流動性も有意差をもって低下させた。また、中和抗体であるLAT27は膜流動性を低下、非中和抗体LAT12は亢進させる傾向にあったが有意差は認められなかった。 以上の結果から、抗体が膜流動性を低下させるには、膜上に抗体が作用する抗原の量と抗体の結合力が関与していると思われた。この二つの因子が、何らかの形で膜にstericな変化と流動性抑制を与えていると考えられた。 今後、さらに解析を加えていくためには、ESRのように多量の細胞と抗体が要求される系ではなく、FRAP法のような細胞一個レベルでの解析が必要である。
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Research Products
(4 results)