2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590479
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 貴将 Kumamoto University, エイズ学研究センター, 准教授 (10322314)
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Keywords | HLAクラスI / 細胞傷害性T細胞 / HIV / Nef / 淘汰圧 |
Research Abstract |
本研究では、HLAアリル多型性がT細胞の抗ウイルス機能に与える役割を明らかとするとともに、このシステムにウイルス因子が及ぼす影響を解析する。本年度は、HLA-B35拘束性のHIV特異的CTLの抗ウイルス活性を解析するとともに、そうしたCTLによる免疫淘汰圧がHIVの複製に与える影響について解析した。その結果、以下の3点を明らかにした。 1.極めて保存性の高いNefの機能性領域に、稀(データベース上で約5%)に認められる変異は、HLA-B35を持つHIV感染者で非常に多く(ほぼ90%)認められた。さらにHIV感染者から樹立したCTLの機能解析から、この変異はHLA-B35拘束性CTL応答によって選択されるCTL逃避変異であることが明らかとなった。 2.この変異を含む領域は、PxxP領域と呼ばれ、Nefのさまざまな機能を担うと考えられている。まずNefによるCD4分子およびHLAクラスI分子の発現低下作用を解析した。その結果、このCTL変異は、CD4分子の発現低下には影響しないが、HLAクラスI発現低下機能を減弱化させた。さらにこのことにより、変異ウイルスに感染した細胞は、他のCTL(Gag、Pol、Envなどに特異的な)に対して、より殺されやすくなることが分かった。これらの結果は、Nef上に認められたCTL逃避変異は、生体内ではウイルス複製にネガティブに働くと考えられた。 3.さらに、このNef変異を持つウイルスは、試験管内でウイルス複製機能が弱まっていることから、この変異はNefのウイルス複製増強作用を減弱化すると示唆された。 以上のことから、HIVに対するCTL免疫監視システムは、Nefの病原性機能に著しい影響を与えることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)