2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590480
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 美歌子 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (00322256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雅巳 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40126008)
岡本 良成 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (20194409)
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Keywords | エイズ / HIV / Gag / MA / Vpu / イノシトールリン酸 / Biacore |
Research Abstract |
HIVが細胞から出芽する際にGag蛋白質が細胞膜に結合する必要があるが、この結合において細胞膜に存在するイノシトールリン酸とGagとの相互作用が重要であることが最近示された。本研究では平成19年度に、哺乳細胞由来HIV-1Gag関連蛋白質とビオチンに固定したイノシトールリン酸との結合を、Biacoreを用いてin vitroで観察することに成功した。しかしながら、ネガティブコントロールに非特異的結合が見られるなどの問題点を残していた。当該年度にはまず実験系に改良を加え、非特異的結合を完全に消去することに成功した。確立した系を用いて競合阻害実験を行うことにより、Gag関連蛋白質と種々のイノシトールリン酸類との解離定数を決定した。その結果、次のことが明らかになった。(1)GagおよびMAに対して、イノシトールリン酸は600-700μM程度の解離定数で結合する。さらにイノシトールリン酸が脂質部位を持つと結合の強さは25倍程度上昇し、25-30μM程度の解離定数で結合する。(2)全長のGagとその一部であるMAとの間では、イノシトールリン酸類に対する結合の強さにほとんど差がない。(3)イノシトールリン酸類のリン酸基が1,4,5位にある場合、1,3,4位にある場合、1,3,4,5位にある場合では、全長のGagに対する結合の強さにほとんど差がない。また、Gag関連蛋白質であるCAや、Gagと同様にミリスチル化により細胞膜に結合することが知られるNefはイノシトールリン酸との結合を示さないことがわかった。これに対して、細胞膜に結合する別の蛋白質Vpuについては、イノシトールリン酸と相互作用する可能性が見られた。HIV蛋白質とイノシトールリン酸類の結合を広く詳細に解析した例は本研究が初めてであり、極めて意義深い。
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