2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスのウイルスゲノム複製依存的後期遺伝子発現のタイムキーパーはなにか
Project/Area Number |
19590487
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
磯村 寛樹 Aichi Cancer Center Research Institute, 腫瘍ウイルス学部, 主任研究員 (20294415)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 転写 / 後期遺伝子 |
Research Abstract |
本年度研究計画の概要 ヘルペスウイルスの転写制御はまず、主として宿主の転写因子によって活性化される前初期遺伝子が活性化される。そして、その前初期遺伝子がウイルスのDNA複製に必要な初期遺伝子を活性化し、DNA複製が開始される。そして、DNA複製に依存してウイルスの構造蛋白の産生に必要な後期遺伝子が活性化される。ヘルペスウイルスの転写はこうした厳密なカスケードによって制御されている。しかし、どうしてヘルペスウイルスの後期遺伝子の転写がウイルスDNAの複製依存的に起こるのか、その分子機構は全く不明である。本研究は組換えヒトサイトメガロウイルス(HCMV)を用いてその分子機構を明らかにすることを目的とする。 本年度の研究結果 1.後期遺伝子プロモーターの活性化には、前初期遺伝子産物の他にウイルスDNAポリメラーゼ付随タンパク質であるUL44蛋白が、ウイルス複製に対する作用とは独立して必要であることを明らかにした。 2.そのUL44遺伝子プロモーターには3つのTATA boxが存在し、その中間位に存在するTATA boxは感染後期に活性化される。その後期プロモーターのTATA配列は他のUL44初期プロモーターと異なり、noncanonicalな配列5'-GCTGTATTATTAGA-3'である。これをcanonicalな配列5'-GCTGTATataaAGA-3'(小文字は変異部位)に変更すると、感染初期にDNA複製非依存的に活性化されるようになった。これまでは遺伝子の特異的発現制御はエンハンサーが担い、TATA配列を含むプロモーターは基本転写を維持すると考えられてきたが、ヘルペスウイルスの時間依存的遺伝子発現制御はプロモーターのTATA配列の違いがその役割を担っている可能性が考えられる。
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