2007 Fiscal Year Annual Research Report
全ての樹状細胞サブセットに共通の新規前駆細胞の同定・純化
Project/Area Number |
19590490
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小内 伸幸 Akita University, 医学部, 助教 (50323605)
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Keywords | 免疫学 / 樹状細胞 / 血液前駆細胞 / サイトカイン / 細胞分化・増殖 |
Research Abstract |
樹状細胞(dendritic cell;DC)は、生体内における分布、細胞の成熟の程度、細胞表面抗原の発現、さらに機能の違いにより、様々なサブセットが存在する。マウスの脾臓とリンパ節には、CD11c^<lo>B220^+PDCA-1^+の形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC;pDC)とCD11c^+B220^-PDCA-1^-の古典的樹状細胞(conventional DC;cDC)が存在する。これらDCの前駆細胞とその分化過程に関しては、単一の前駆細胞が様々なDCサブセットへ分化するモデルと、異なる複数の前駆細胞がDCサブセットへと分化するモデルが提唱されている。 本研究で、我々はDC分化に重要と考えられているサイトカイン受容体Flt3とM-CSFRの発現を指標にしてマウス骨髄から、in vitro及in vivoにおいてDCサブセットのみに分化する共通樹状細胞前駆細胞(common dendritic progenitor;CDP)を世界で初めて発見した(Nature Immunol.;8,1207-16,(2007))。このCDPはin vitro colony assayにおいて、他の血球系列(骨髄系、赤芽球系、pre-B細胞)へはほとんど分化せず、Flt3リガンドを用いて培養すると、95%以上がCD11c^+MHC class II^+ DCへと分化した。このCDPを未処理のNew bomマウスに移植したところ、脾臓、骨髄とリンパ節においてpDC及びcDCのみに分化した。さらに、マウスstromal cellとFlt3リガンドとの共培養実験から、単一のCDPがpDC、cDCあるいはpDCとcDCに分化した。また、CDPはその分化能に一致しるように樹状細胞分化に重要なサイトカイン受容体及び転写因子を他の前駆細胞と比較して高度に発現していた。 これらの研究成果に基づき今後は、新たに発見したこのCDPの下流に存在すると予想されるpDCあるいはcDCだけにコミットした前駆細胞の同定を試みる。さらにこれらDCサブセットへコミットした前駆細胞群、骨髄系前駆細胞、リンパ球系前駆細胞を用いて包括的な遺伝子発現プロファイルリングを解析し、DCさらにはDCサブセットの分化、機能に特異的な新規遺伝子の同定を試みる。これらのアプローチにより、細胞レベル、分子レベルにおける樹状細胞分化機構を明らかにすることを目的とする。
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