2008 Fiscal Year Annual Research Report
全ての樹状細胞サブセットに共通の新規前駆細胞の同定・純化
Project/Area Number |
19590490
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小内 伸幸 Akita University, 医学部, 講師 (50323605)
|
Keywords | 免疫学 / 樹状細胞 / 血液前駆細胞 / サイトカイン / 細胞分化・増殖 |
Research Abstract |
マウス二次リンパ組織内には、ウイルス核酸成分やCpGに反応し、大量のI型インターフェロンを産生する形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell : pDC)や、強力なクロスプレゼンテーション能力を持つCD8α^+DCを代表とする古典的樹状細胞サブセット(conventional DC : cDC)といった機能の異なるDCサブセットが存在している。これらの2つDCサブセットは、同一の前駆細胞から由来するのか、あるいはそれぞれ異なる前駆細胞由来するのか、その分化起源は長い間不明であった。研究代表者はDC分化に重要なサイトカイン受容体Flt3とM-CSF受容体の発現を指標にして世界で初めてDCサブセットのみに分化するマウス共通DC前駆細胞(common dendritic cell progenitor : CDP)をマウス骨髄から同定・純化に成功した(Nature Immunol.8 : 1207-12(2007))。このCDPを用いて、in vitroにおけるクローナルアッセイを行ったところ、1つのCDPからpDCとcDCに分化するbipotentialなクローン、pDCのみ、あるいはcDCのみに分化するuni-potentialなクローンが存在することが明らかとなった。さらにin vivoにおいても、CDPを移植した定常状態のマウスの脾臓、リンパ節、骨髄において、CDPはpDCとcDCのみに分化した。これらの結果は、異なる,エフェクター機能を持ち抗原提示細胞であるpDCとcDCが同一の起源(CDP)から由来することを見事に証明した。これらの研究成果は、血液細胞分化系譜にDC分化経路図を追加した学術的に非常に重要な発見である。また、Flt3-ligandx GM-CSFダブルノックアウトマウスを作製し、 DCサブセットやDC前駆細胞数を検討したところ、Flt3-ligandノックアウトマウスよりもさらに、DCサブセットや前駆細胞数が減少していたが、その機能には差がないことを見出した(Blood in press(2009))。 これら2年間に及ぶ研究成果は、当初予定していた研究目的はほぼ達成され、CDPの発見により研究代表者は国際的にも高い評価を得た。さらに現在のDC分化研究はCDPを中心に遂行・議論されている。一方で、DC分化・機能及びDC特異的分化プログラムの研究は現在進行中で今後の重要な課題である。
|