2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系細胞の分化成熟のメカニズムとその破綻による獲得免疫異常の研究
Project/Area Number |
19590494
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
瀧 伸介 Shinshu University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50262027)
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Keywords | 免疫系 / 樹状細胞 / 転写制御因子 / I型インターフェロン / インターフェロンγ / 皮膚炎症 / 遺伝子支配 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
転写因子IRF-2を欠損するマウスでは、I型インターフェロン依存的に炎症性皮膚疾患が自然発症する。ところが、これは遺伝的背景がC57BL/6の場合にのみ見られ、BALB/cマウスに退交配したマウスでは見られない。そこで、どの背景遺伝子が本疾患に対する感受性の制御に関わっているのかを明らかにするためにリンケージ解析を行った。その結果、第4染色体および第10染色体に強いquantitative trait loci(QTL)が見出された。一方、このマウスはまた、樹状細胞サブセットのI型インターフェロン依存性の分化異常を示す事でも知られているが、詳細なリンケージ解析の結果、皮膚炎症と樹状細胞サブセット異常の遺伝子支配は異なる遺伝子座によって担われている事が明らかになった。さらに、C57BL/6およびBALB/cの遺伝的背景を有するIRF-2欠損マウスについて、皮膚における様々な遺伝子の発現異常を検討したところ、いわゆるインターフェロン誘導遺伝子群の発現、インターフェロンγの発現が、C57BL/6マウスの遺伝的背景を持つIRF-2欠損マウスでのみ亢進していることが明らかとなり、様々な二重欠損マウスの解析を通じて、I型インターフェロンに対する自発的な応答亢進の結果、CD8+T細胞がインターフェロンγを産生し、皮膚炎を引き起こしていることが明らかとなった。さらに、インターフェロンg受容体欠損マウスとIRF-2欠損マウスの交配によって、実際にインターフェロンγが皮膚炎の発症に重要である事をも明らかにした。ヒト皮膚疾患である乾癬においてもI型インターフェロンおよびインターフェロンγの関与が知られており、本モデルマウスは該ヒト疾患における発症の遺伝子支配の研究に有用なシステムである事が明らかとなった。
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Research Products
(10 results)