2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌性抗原受容体NOD2の活性化による腸管免疫制御機構の解析
Project/Area Number |
19590495
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 智裕 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (40444468)
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Keywords | 自然免疫 / クローン病 / サイトカイン |
Research Abstract |
NOD2変異はクローン病を引き起こすことが知られているが、NOD2変異の存在下でクローン病が発症する機序に関しては未解明であった。研究代表者はNOD2と自然免疫の中心分子であるTLRとの関係に着目し、Muramyl dipeptide(MDP)によるNOD2の活性化がTLR2経路を介する炎症反応を負に制御することを発見した。しかしながら、この成果のみでNOD2変異の存在下におけるクローン病の発症機序を完全に説明することはできない。というのもクローン病の発症にはTLR2だけではなく、多くのTLR経路の活性化が関与するからである。本研究において、申請者はMDPによるNOD2の活性化が多くのTLR経路を負に制御するのではないかと想定し、以下の3事実を明らかにした。1)MDPで予めNOD2を活性化された樹状細胞では引き続いてTLR2,3,4,5,9ligandsで刺激しても、NF-kappaBの核内移行が起こらず、炎症性サイトカインの産生が抑制される。 2) その分子機序はNOD2の活性化で誘導されたIRF4がTLR経路シグナル伝達分子であるMyD88,TRAF6,RICKと結合し、NF-kappaBの活性化を防止するためである。 3) MDPを予め投与されたマウスは急性腸炎の発症が予防され、その効果はIRF4に完全に依存する。 これらの成果により、MDPによるNOD2の活性化はTLR経路を介する炎症反応を負に制御すること、クローン病関連型NOD2変異の存在下ではこの制御メカニズムが作動しないために、腸内細菌によるTLR経路の過剰な活性化が生じて炎症を引き起こすことが明らかとなった。これらの成果は基礎的にはNOD2を介する腸管免疫の制御機構の解明に寄与すると考えられる。臨床的にはNOD2の活性化を用いたクローン病の新規治療法の開発に繋がり得るものと思われる。
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Research Products
(2 results)