2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 多佳子 Osaka University, 微生物病研究所, 特任准教授 (00346199)
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Keywords | T細胞 / 接着分子 / セレクチン / シアロムチン / CD43 / PSGL-1 / 皮膚 / 白血球ローリング |
Research Abstract |
体外から侵入しようとする感染性病原体に対して最初のバリアーとして機能するのが、体の外面を覆う「皮膚」である。皮膚には定常時にもメモリーT細胞が存在するが、感染時にはエフェクターT細胞が速やかに動員され感染防御において中心的役割を担う。また、皮膚に浸潤するT細胞はアレルギー性接触性皮膚炎、乾癬、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の病因・病態に関与することが示されている。エフェクター/メモリーT細胞の炎症皮膚への動員は皮膚血管内皮細胞に発現するP-セレクチンとE-セレクチンにより媒介される。私たちはこれまでに、T細胞に発現するP-セレクチンリガンドとしてPSGL-1、E-セレクチンリガンドとしてPSGL-1およびCD43を同定した。これらの分子は抗原刺激による分化・増殖の過程でリガンド活性を獲得する。本研究では、マウスの接触過敏症モデルを用いて、抗原刺激後のT細胞のセレクチンリガンド活性の動態を解析した。その結果、セレクチンリガンド活性は、IFN-γ産生CD8T細胞、IFN-γ産生CD4T細胞、IL-17産生CD8T細胞、IL-17産生CD4T細胞、Foxp3陽性CD4T細胞などの複数のT細胞サブセットに誘導され、抗原刺激後4日目にピークに達した。また、セレクチンリガンド活性の発現には糖鎖修飾を媒介する酵素群の発現が必要であることから、その発現動態をリアルタイムPCRにより解析したところ、特定のフコース転移酵素、硫酸転移酵素、N-アセチルグルコサミン転移酵素の発現の亢進が認められた。以上から、抗原刺激によるセレクチンリガンド活性の発現は、複数の糖鎖修飾酵素の発現の誘導により付与されることが示された。
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