2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590534
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
劉 克約 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
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Keywords | 脳梗塞 / 抗体治療 / ミクログリア / 血液脳関門 |
Research Abstract |
脳血管障害は日本人の死因の第3位を占め、その内約60%は脳梗塞によるものである。現在、脳梗塞の急性期治療薬として、組換え体t-PAやラジカルスカベンジャーのエダラボンが臨床応用されているが、有効治療時間帯の制限や虚血再灌流障害あるいは副作用等の問題があり、真に有効な治療法開発が望まれて久しい。我々は、起炎性の新規活性物質HMGB1に注目し、特異的抗HMGB1単クローン抗体の治療法を開発した。その結果、ラット中大脳動脈2時間閉塞再灌流の脳梗塞モデルにおいて、梗塞巣を減少して、後遺症も減少することを確認した。脳虚血再灌流3時間後には、脳の毛細血管周囲の変化と脳血管透過性をエバンスブルー漏出を指標として評価した結果とも抗体治療により、脳血管透過性亢進が明らかに抑制示された。虚血側のアストログリアと神経細胞核のHMGB1の反応が消失していた。一方、虚血側の視床下部傍室核や視床下部前部のニューロンでは、細胞質を含む細胞全体にHMGB1の発現が上昇していた。また、視床下部前部では、血管周辺に、HMGB1強陽性の点状構造物が多数観察された。このような結果は、虚血側の特定の視床下部領域、特にストレス応答に関連する脳部位で、HMGB1が発現誘導されていることが分かった。本研究は新規性の高い有効な脳梗塞治療法として特許第3876325号という成果を取得した。脳梗塞に対する抗HMGB1単クローン抗体の治療効果ついてはFASEB Journalに『Anti-high mobility group box 1 monoclonal antibody ameliorates brain in farction induced by transient ischemia in rats.』として報告した。これらの実験結果に基づき、脳内ミクログリアの活性化、浸潤性白血球の動態、脳内サイトカイン類の発現の観点から抗体作用の解析を進めていく。
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Research Products
(4 results)