2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590534
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
劉 克約 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
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Keywords | 脳梗塞 / 抗体治療 / ミクログリア / 血液脳関門 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて抗体の作用機序解析を実施した。虚血再灌流3時間後に、脳微小血菅の変化を電子顕微鏡レベルで観察した。対照抗体投与群は、脳神経細胞アストロサイトの終足腫脹を見られ、血管外側の基底膜が細くまた欠如していた。脳神経細胞の終足は基底膜から遊離、血管内皮細胞の剥離、血管内に血栓の塊、この様な血液-脳関門の破綻の像が見られた。抗HMGB1単クローン抗体の投与によって、血液-脳関門の破綻を抑制し、MRI画像で虚血再灌流後誘発された脳浮腫の進行を止めることが示唆された。実際に脳組織の水分含量を測定したところ、抗HMGB1単クローン抗体治療群の方は、虚血側の大脳皮質、線条体、視床下部、海馬における水分含量の変化が30-40%抑えられた。脳内水分量調節の役割を行うアクアポリン4(AQP4)の発現を抗HMGB1抗体投与は抑制した。脳虚血後のHMGB1分子の局在変化を詳細に検討した。正常脳において細胞核に存在するHMGB1は、虚血再灌流障害の刺激で、三つの変化パターンを示した。細胞核のレンコン様の像は虚血側の線条体領域によく見られ、HMGB1の細胞核内分散、移動を示した。HMGB1の細胞核から細胞内へ放出の像は大脳皮質、線条体の周囲に多く見出され、HMGB1の細胞内からの放出像は視床下部領域が多かった。これらの結果は、虚血再灌流障害の炎症応答における細胞死とHMGB1の放出過程を明らかにした。以上の結果は、虚血性脳浮腫に対する、抗HMGB1単クローン抗体の有効性を示唆する。
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Research Products
(4 results)