2008 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子アイディ2の発現に基づく肝癌に対する新規化学療法の開発
Project/Area Number |
19590536
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
飯塚 徳男 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80332807)
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Keywords | ID2 / 肝癌 / 転移 / 抗がん剤 / 門脈浸潤 |
Research Abstract |
初年度は、肝癌(HCC)細胞におけるID2の発現量とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(ソディウムブチレート及びトリコスタチンA)の感受性との関連性を確認した。平成20年度は、 HCC細胞株(HuH-7)においてID2をノックダウンし、HDAC阻害剤による細胞増殖制御を検討した。その結果、 ID2の発現抑制により容易にHDAC阻害剤による細胞死が誘導され、これがアポトーシスによるものであることを確認した。また、試験したHDAC阻害剤は、前述の2つに加えて5つを追加したが、いずれのHDAC阻害剤でも同様の結果が示され、HDAC阻害剤の分類において短鎖脂肪酸とヒドロキサム酸だけでなく、ベンズアミドや環状ペプチドによる抗腫瘍効果にもID2が関わることが示された。さらに、 ID2抑制によるアポトーシスの誘導は、アポトーシス関連遺伝子の発現を調節することで行われていることを明らかとした。以上の成果を国内(第31回日本分子生物学会年会、第111回山口大学医学会学術講演会)および国際学会(The 19^<th> Conference of the Asian Pacific Association for the Study of the Liver)で発表し、現在、論文を投稿準備中である。 この間、肝癌の悪性度制御にHIF1αが関与し、その下流に位置する解糖系酵素群の発現・活性が亢進した症例の予後が不良であることを確認し論文報告した(Hamaguchi et al, Int J Oncol2008)。また、本研究と連動して行ったマイクロアレイデータおよび血液中他施設で報告されているメチル化遺伝子のリスト作業から、複数のメチル化遺伝子のパターンが早期肝癌の診断マーカーとなり得る知見を得て、論文報告した(Moribe et al, Int J Cancer inpress)。
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