2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌化学療法剤による口腔粘膜炎の発症機序解明と治療薬開発の基礎的研究
Project/Area Number |
19590537
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
末丸 克矢 Ehime University, 医学部附属病院, 准教授 (50363239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 博陽 愛媛大学, 医学部附属病院, 教授 (50294450)
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Keywords | 口内炎 / 5-Fu / ginsenoside Rb1 / フィルム製剤 / ミエロペルオキシダーゼ活性 / ハムスター / HE染色 |
Research Abstract |
昨年度は、癌化学治療時の口内炎に対する治療薬剤を探索する目的で、抗癌剤の5-FU(60mg/kg)をハムスターに投与することによって惹起させた口内炎モデルを用いて、ジンセノサイドRb1およびローヤルジェリー含有軟膏が治癒促進作用を有することを明らかにした。また、ジンセノサイドRb1を口腔内フィルム剤として応用することにより、その改善作用が向上した。本年度は、まずアルギン酸ナトリウムおよびキトサンを用いてローヤルジェリー含有口腔内フィルム剤を作成し、口内炎に対する影響を検討した。その結果、ローヤルジェリー含有フィルム剤(3-30%)の連日貼付は、口内炎治癒促進作用(口内炎面積の縮小)を示した。また、炎症マーカーとして好中球が産生するミエロペルオキシダーゼ活性の定量ならびにHE染色による病理組織的評価を行った結果においても、ローヤルジェリー含有口腔内フィルム剤の口内炎治癒促進作用が確認された。以上の結果より、ジンセノサイドRb1およびローヤルジェリーを含有した口腔内外用薬が、癌化学療法の口内炎治療に対して有効な候補と考えられた。次に、ジンセノサイドRb1およびローヤルジェリーの口内炎治癒促進作用の機序を明らかにする目的で、活性酸素消去能ならびにケラチノサイトに対する影響を検討した。スーパーオキシド消去能、DPPHの特異吸収の減少およびヒドロキシラジカル消去能を調べたが、ジンセノサイドRb1およびローヤルジェリーともいずれの実験系においても消去活性を示さなかった。また、HPdLFにおけるケラチノサイト増殖因子(KGF)産生に及ぼす影響を調べたが、ジンセノサイドRb1およびローヤルゼリーともケラチノサイトの増殖作用を示さなかった。今後は、さらに炎症ならびに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等に関する影響を検討する必要性が考えられた。
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