2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲフィチニブ血中濃度モニタリングによる肺癌患者の個別化治療の可能性の検討
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19590538
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 洋一 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20432974)
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Keywords | 肺癌 / 分子標的薬 / 上皮成長因子受容体阻害薬 / 血中濃度 / トラフ値 |
Research Abstract |
上皮成長因子(EGF)受容体チロシンキナーゼ阻害薬gefitinibは肺非小細胞癌の分子標的薬として開発され、奏効例での効果は著しい。しかし、薬剤性肺障害の有害事象等もあるなど臨床上の課題も多い。申請者はgefitinibの血中濃度の測定法(HPLC法)を樹立し、gefitinib投与後の測定を行ったところ、患者間で血中gefitiniib濃度(トラフ値)の散布度が大きいことを見いだし、なんらかの因子が薬物動態と関わっている可能性と薬物動態の差異が臨床効果や有害事象と関連するのではないかと仮説をたて、その検証を行った。投与3日目(D3)における血中濃度トラフ値の中央値は662ng/ml、投与8日目(D8)における血中濃度トラフ値の中央値は662ng/ml、D8/D3の中央値は1.587であった。各々の因子と無増悪生存期間の相関関係について単変量解析を行った結果、非喫煙者、腺癌D8/D3高値(中央値以上)、がそれぞれP=0.0494、0.0207、0.0158で有意に予後良好であった。これらの因子を対象にCox比例ハザードモデルで多変量解析を行った結果、非喫煙者およびD8/D3高値(中央値以上)がそれぞれP=0.0160、0.0110と独立した予後因子であることが明らかとなった。一方、測定可能な症例より同遺伝子変異を解析し、D8/D3値と層別化した生存解折をした結果、D8/D3値の高値かつEGF受容体遺伝子変異陽性群が最も良好な無増悪生存期間を示した。一方で、D8/D3値の低値かつEGF受容体遺伝子変異陰性群が最も予後不良であった。D8/D3値は薬剤のAccumulation indexに相当すると考えられるため、同値の改善を図るようなゲフィチニブ投与方法を工夫すれば、同薬剤の抗腫瘍効果をより高めることができる可能性がある。
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Research Products
(4 results)