2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性糖尿病のアルツハイマー病加速機序に関する行動薬理学的研究
Project/Area Number |
19590545
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 克典 Fukuoka University, 薬学部, 教授 (10183196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 道弘 福岡大学, 薬学部, 教授 (10091331)
三島 健一 福岡大学, 薬学部, 准教授 (00320309)
|
Keywords | アルツハイマー病 / インスリン受容体 / マイクロドメイン / アミロイドβ / インスリン抵抗性 / ガングリオシド / 薬理学 |
Research Abstract |
インスリン抵抗性を有する遺伝的糖尿病モデル動物であるGoto-Kakizaki(GK)ラットを用い、それらの脳室内にAβオリゴマーを微量投与し学習行動に及ぼす影響を調べた。遺伝的糖尿病モデル動物であるGKラットおよび対照として同週齢のWistarラットを用いた。Aβ(1-42):Aβ(1-40)を1:10の割合で混合し、37℃で2.5時間インキュベートしたものを、Aβオリゴマーとした。このAβオリゴマーをラットの両側脳室内に微量投与し、Morris水迷路課題による学習評価を行った。また、組織学的検討として、ラット脳の海馬錐体細胞のHE染色およびTUNEL染色を行った。Aβオリゴマーを処置したWistarラットの遊泳時間は、溶媒処置したWistarラットと比較して変化はなかった。Aβオリゴマーを処置したGKラットの遊泳時間は、溶媒処置した群と比較して延長した。また、HE染色およびTUNEL染色の組織学的検討より、WistarラットとGKラットのAβオリゴマー処置群は溶媒投与群と比較して、変化は認められなかった。Aβオリゴマーを処置したGKラットは溶媒処置した群と比較して学習障害が発現していたことより、糖尿病ラットでは、Aβオリゴマー脳室内投与により学習障害を発現することが分かった。Aβ脳室内投与による学習行動は、糖尿病によるインスリン抵抗性、または高血糖により増悪することが考えられた。これは疫学的調査や臨床報告でなされているように、糖尿病がアルツハイマー病の加速因子となりうることが示唆された。このモデルは臨床像を反映した新たなアルツハイマー病モデル動物として有用であり、これまでにない新しいタイプのアルツハイマー病治療薬の探索に応用できる可能性が示唆される。
|
Research Products
(2 results)