2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症感受性遺伝子マーカーとしてのSLC12A3遺伝子多型の意義
Project/Area Number |
19590546
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
保嶋 実 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (90142934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 優 明治薬科大学, 薬効学, 教授 (10226300)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 遺伝子マーカー / SLC12A3 / 遺伝子多型 / 一塩基多型(SNPs) / 連関解析 |
Research Abstract |
ギテルマン症候群の原因遺伝子であるSolute Carrier Family 12 member 3(SLC12A3)は、NaCl代謝を介した血圧調節において重要な役割を担っている。また、SLC12A3は糖尿病腎症の発症と進展に関与する分子として着目されている。本研究では、糖尿病性腎症の発症と進展にSLC12A3の機能変化によるNaCl代謝異常が関与する可能性について検討した。 今年度は、地域健康増進プロジェクトに参画し、地域住民におけるSLC12A3遺伝子多型頻度を明らかにするとともに耐糖能障害(糖尿病)との連関について検討した。受診者は1,567名で、調査票ならびに糖代謝の検査結果から正常血糖群963名、境界群490名、糖尿病群114名に分類し、T180K、L849H、R904QおよびR919Cの4種類についてTaqMan法により各遺伝子型を判定した。受診者1,567名におけるT180K、L849H、R904QおよびR919Cの変異アリル頻度はそれぞれ1.3%、1.6%、6.4%、1.9%であった。耐糖能障害との連関では、T180Kの変異アリルを有する遺伝子型頻度が正常血糖群に比べ、境界群および糖尿病群で有意に低下していた(p<0.05)。L849H、R904QおよびR919Cでは有意な連関は認められなかった。さらに、T180Kの変異アリルを有する遺伝子型と有しない遺伝子型に分けて各パラメーターを比較した結果、HbA1Cと空腹時血糖値で変異アリルを有する群が有しない群に比べ有意に低値であった(p<0.05)。T180Kの遺伝子多型が耐糖能障害の抵抗性遺伝子である可能性が示唆された。今後、糖尿病性腎症患者との連関解析を行い、さらに糖尿病性腎症患者を病期別に分類し腎症進展への関与について検討する予定である。
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