2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症感受性遺伝子マーカーとしてのSLC12A3遺伝子多型の意義
Project/Area Number |
19590546
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
保嶋 実 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (90142934)
|
Keywords | 糖尿病性腎症 / 遺伝子マーカー / SLC12A3 / 遺伝子多型 / 一塩基多型(SNPs) / 連関解析 |
Research Abstract |
ギテルマン症候群の原因遺伝子であるSolute Carrier Family 12 member 3 (SLC12A3)は、NaCl代謝を介した血圧調節において重要な役割を担っている。また、SLC12A3は糖尿病腎症の発症と進展に関与する分子として着目されている。本研究では.糖尿病性腎症の発症と進展にSLC12A3の機能変化によるNaCl代謝異常が関与する可能性について検討した。今年度は、糖尿病性腎症とSLC12A3遺伝子多型との連関について検討した。対象は糖尿病性腎症患者161例(非透析患者90例、透析患者71例)で、糖尿病患者114例を対照とした。SLC12A3遺伝子多型解析はEDTA加血液より抽出したゲノムDNAを試料とし、T180K、 L849H、 R904QおよびR919Cの4種類についてTaqMan法で行った。糖尿病群および糖尿病性腎症群でT180K、 L849HおよびR919Cで変異型ホモ接合体は検出されなかった。糖尿病性腎症との連関では、変異アリルを有する遺伝子型と持たない遺伝子型に分けて比較したが、糖尿病群と糖尿病性腎症群の両群間にT180K、 L849H、 R904QおよびR919Cの4種類ともに差異を認めなかった。また、対立遺伝子頻度くにおいても両群間に差異を認めなかった。また、糖尿病性腎症群を非透析群と透析群に分けて比較したが、遺伝子型および対立遺伝子頻度に差異を認めなかった。さらに、4種類のミスセンス変異のいずれかの変異を有する遺伝子型といずれの変異も持たない遺伝子型に分けて、糖尿病性腎症群と糖尿病群との頻度について比較したが、両群間に有意差は認められなかった。SLC12A3遺伝子の4種類のミスセンス変異と糖尿病性腎症に連関を認めなかったことから、これらの変異が糖尿病性腎症の遺伝子マーカーになる可能性が少ないことが示唆された。
|