2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症感受性遺伝子マーカーとしてのSLC12A3遺伝子多型の意義
Project/Area Number |
19590546
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
保嶋 実 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90142934)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 遺伝子マーカー / SLC12A3 / 遺伝子多型 / 一塩基多型(SNPs) |
Research Abstract |
ギテルマン症候群の原因遺伝子であるSolute Carrier Family 12 member 3 (SLC12A3)は、NaCl代謝を介した血圧調節において重要な役割を担っている。また、SLC12A3は糖尿病性腎症の発症と進展に関与する分子として着目されている。本研究では、糖尿病性腎症の発症と進展にSLC12A3の機能変化によるNaCl代謝異常が関与する可能性について検討した。今年度は、ケース・コントロール研究として糖尿病腎症とSLC12A3遺伝子のプロモーター領域多型との関連性について検討した。対象は、糖尿病性腎症87例(腎症群)と糖尿病で腎症未発症の49例(対照群)で、腎症群をさらに非透析群(腎症3期)16例と透析群71例に分類して比較検討した。遺伝子多型解析は、2種類の多型(-605C/Tおよび-141G/C)をTaqMan-PCR法で行った。-605C/T多型では、対照群においてCC型44例、CT型3例、TT型2例で、腎症群ではCC型79例、CT型6例、TT型2例で両群間の遺伝子型頻度に差異は認めなかった。対立遺伝子頻度についても両群間で差異を認めなかった。さらに腎症群を非透析群と透析群に分けて比較したが、遺伝子型頻度および対立遺伝子頻度に差異を認めなかった。-141G/C多型では、対照群においてGG型22例、GC型22例、CC型5例で、腎症群ではGG型55例、GC型25例、CC型7例で両群間に差異は認めなかった。対立遺伝子頻度についても両群間で差異を認めなかった。さらに腎症群を非透析群と透析群に分けて比較したが、遺伝子型頻度および対立遺伝子頻度に差異を認めなかった。糖尿病性腎症とSLC12A3遺伝子のプロモーター領域多型に連関を認めなかったことから、それらの多型は糖尿病性腎症の遺伝的マーカーにならないことが示唆され、他の領域での検索がさらに必要と考えられた。
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