2008 Fiscal Year Annual Research Report
播種性血管内凝固における炎症と凝固のクロストークと血管作動性物質の意義
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19590549
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
朝倉 英策 Kanazawa University, 附属病院, 准教授 (60192936)
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Keywords | DIC / 血管作動性物質 / サイトカイン |
Research Abstract |
播種性血管内凝固症候群(DIC)の本態は、全身性持続性の血管内凝固活性化であり、全身の主として細小血管内に微小血栓が多発する。血管作動性物質はDICの循環動態、臓器障害、炎症などに影響を与える可能性が高いが従来検討がなされてこなかった。昨年までの我々の検討から、LPS誘発DICモデルにおいては、エンドセリン(ET)が著増し一酸化窒素代謝産物であるNOXも中等度上昇した。一方、組織因子誘発DICモデルにおいてはETの上昇は見られなかったが、NOXは著増した。 今年度は、抗炎症作用が期待されているPGI2誘導体(ベラプロストナトリウム:BPS)をLPS誘発DICモデルに対して投与することにより、血管作動性物質や炎症に対する影響を検討した。その結果、LPS誘発DICモデルにおいて、BPSは凝固異常(血小板数、フィブリノゲン、Dダイマー、TAT、PTで評価)を改善した。また、同モデルにおける血中TNF濃度の上昇が強く抑制され(IL-6濃度も軽度抑制)、NOXの上昇も有意に抑制された。ただし、血中ETの上昇は、BPSによって更に上昇した。また、肝腎障害(Cr、ALTで評価)、腎糸球体フィブリン沈着(PTAH染色で評価)に対する改善効果も明らかであった。BPSは血管拡張作用も有しているために血圧に対する効果も評価したところ、生理的ラットに対してもBPSは軽度の血圧低下作用を有していたが、LPSモデルに対して投与した場合も同程度の血圧低下が観察された。 以上、BPSは、LPS誘発DICモデルにおける凝固、炎症、血管作動性物質の観点から極めて魅力的な治療薬になりうるものと考えられた。
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Research Products
(5 results)