2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌患者における血漿中核酸断片を用いた新規バイオマーカーの開発と臨床応用
Project/Area Number |
19590568
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
市川 大輔 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (20347446)
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Keywords | 胃癌 / 食道癌 / バイオマーカー / DNA断片 / 血漿 |
Research Abstract |
壊死やアポトーシスを介して、癌細胞から末梢血液中にDNA断片のみならず、mRNAも放出されており、比較的安定な状態で循環血液中に存在することが明らかになっている。これら血液中の微量遊離核酸を用いた消化器癌の高感度診断系の確立を目的に、血漿中より抽出したDNAならびにmRNAを用いて、癌細胞特異的mRNAの検出、遊離DNA断片の総濃度及び"長さ"比(integrity)を解析し、これらの結果と臨床病理学的因子との比較検討を行った。 結果:1)Cell-free plasma mRNAの定量:GUSmRNAの解析結果から、細胞から放出されたmRNAがDNA断片同様、比較的安定した状態で循環血中に存在することが判明した。胃癌患者の15%においてhTERTmRNAやMUC1mRNAが検出されたが、一方、健常者サンプルの解析ではこれら異常は検出されなかった。2)Cell-free DNA fragment濃度定量、DNA integrity解析:食道癌・胃癌患者共に血中DNA断片が健常人に比較して有意に高値であり、DNA long fragmentの定量において、健常者との差がより顕著であった(ROC曲線解析AUC食道癌0.91、胃癌0.75)。これらの結果から、遊離核酸を用いた諸手法は、従来の腫瘍マーカーと相補的な癌存在診断法となり得ることが判明したため、次年度は解析mRNA数を増やし、更に解析症例数も増やすと共に、術後患者や化学療法後の患者の解析も行い、治療効果判定手法としての可能性も検討する予定である。
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