2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌患者における血漿中核酸断片を用いた新規バイオマーカーの開発と臨床応用
Project/Area Number |
19590568
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
市川 大輔 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (20347446)
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Keywords | 胃癌 / 食道癌 / バイオマーカー / DNA断片 / 血漿 |
Research Abstract |
前年度の解析結果から、末梢血液中の遊離DNAならびにmRNAが安定した状態で存在することが判明し、DNA断片濃度や癌細胞特異的なmRNAの検出による消化器癌存在診断の有用性が示唆された。本年度は、解析するmRNAを増やして、種々の消化器癌でも同様の解析を行い、またDNA断片濃度に関しては、更に高い感度ならびに特異度を併せもった診断系の構築を試みた。 結果:1)種々の癌において異常の報告の多いWT1mRNAの末梢血液中での検出を試み、食道癌患者において健常者に比較して有意に高値であることを確認し、ROC曲線解析ではAUCが0.73であった。また、臨床病理学的因子との検討では、腫瘍径やStage等とは明らかな相関を認めなかったが、術前放射線化学療法群で高値を示す傾向にあった。2)癌組織中の壊死由来DNA断片のみを特異的に検出する試みで、500bp以上のfragmentの検出をリアルタイムPCRにて試みたが、感度や再現性に問題があり、今後の更なる高感度診断系の確立を要する結果であった。3)LINEなどのDNA繰り返し配列を用いた解析では、従来のβactinなどの配列を利用した解析に比較して、極めて高い感度が確認され、また再現性の点でも従来の方法に比較して優れた結果であった。4)手術や化学療法など治療前後における解析結果の比較によって、DNA断片濃度の低下症例と非低下症例が存在することが判明し、今後、これらの症例の生命予後などを解析していくことによって、同解析法の予後判定法としての有用性も検討していく予定である。
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