2007 Fiscal Year Annual Research Report
サイログロブリン遺伝子異常における甲状腺腫発生機構の解明
Project/Area Number |
19590569
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
家入 蒼生夫 Dokkyo Medical University, 医学部, 教授 (80049220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 昭 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40201727)
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Keywords | サイログロブリン / 甲状腺ホルモン合成障害 / 遺伝子異常症 / 甲状腺腫 / 小胞体貯蔵病 / アポトーシス / 定量RT-PCR / 分子シャペロン |
Research Abstract |
我々は、日本におけるサイログロブリン(TG)異常症を解析し、すでに41家系52症例を報告した。TG異常症は甲状腺のびまん性腫大を特徴とする。一般的には、甲状腺ホルモン合成障害例では血清TSHが高値となり、TSHの過剰分泌によって甲状腺ぶ増大するが、TG異常症では血清TSHは正常であるにもかかわらず甲状腺は増大する。その機序は未だ不明であり、今回の研究では甲状腺腫の増大要因を甲状腺内の遺伝子、蛋白発現の解析により解明しよう、と試みた。TGは分泌蛋白であり、リボゾームにて合成された後、小胞体に輸送され、ゴルジ装置を経て、コロイド腔に分泌される。しかし、異常TGは細胞内を正常に輸送されることなく、小胞体内に滞まって、コロイド腔に分泌されることはない(小胞体貯蔵病)。そこで、まず、小胞体に蓄積されたTGが細胞をアポトーシスに向かわせるのか、逆に、分裂に向かわせるのかを、TUNEL法や免疫組織で細胞レベルで検討した。TUNEL法ではアポトーシスが散見され、同時にCasp10発現細胞も認められた。また、PCNA陽性細胞も存在し、一方でアポトーシスが起こると同時に細胞分裂も促進されていることが示唆された。また、我々は、患者組織内で発現増加している遺伝子を定量RT-PCRにて検討した。GRP78、GRP94、ERp72等の分子シャペロンやunfolded protein responseに関連するIRE1の発現が増加していた。異常蛋白処理にかかわるUba80、アポトーシスに関連するCasp10の発現も増加していた。一方、細胞増殖遺伝子の発現増加もあり、PCNAやPCNAに結合するYBX1、また、oncogeneの一種であるHMGA2、STMN1の発現も増加していた。以上よりTG異常症ではアポトーシスと細胞増殖が同時に活性化されていることがわかった。
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Research Products
(2 results)