2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイログロブリン遺伝子異常における甲状腺腫発生機構の解明
Project/Area Number |
19590569
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
家入 蒼生夫 Dokkyo Medical University, 医学部, 教授 (80049220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 昭 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40201727)
|
Keywords | 甲状腺ホルモン合成障害 / びまん性甲状腺腫 / サイログロブリン異常症 / 細胞内輸送障害 / 定量RT-PCR / 遺伝子発現 / 細胞増殖 / アポトーシス |
Research Abstract |
甲状腺ホルモン合成障害患者では甲状腺が腫大するのが大きな特長である。小児例は、マススクリーニングで発見され、甲状腺のびまん性腫大を特徴とする甲状腺機能低下症である。しかし、成人のサイログロブリン異常症では、 TSHはほとんどの症例で増加しておらず、 TSHを抑制しても甲状腺腫は縮小しない。つまり、 TSH以外の原因があると推定される。サイログロブリン異常症の病因は細胞内輸送障害で、変異サイログロブリン蛋白は小胞体に蓄積される。我々は、変異サイログロブリン蛋白を培養細胞に発現させ、発現増加する遺伝子を同定したが、今回、同様の遺伝子発現が患者甲状腺組織内で起こっているか定量RT-PCRを用いて検討した。甲状腺特異的遺伝子群では、 NISの増加が著名で、50倍以上であったが、他の遺伝子発現の増加はTRbの5倍が最大であった。また、細胞内輸送異常を反映して、 GRP78、 GRP94、 PDI等の分子シャペロンmRNAが増加していた。 PCNA、 MAPK、 MAPKK等の増殖マーカーが増加している一方、 CASP10も増加しており、細胞増殖とアポトーシスが同時に進行していることが推測された。サイログロブリン異常症では、放置するとBRAF遺伝子に活性化体細胞変異が生じ、癌が発生するが、発癌以前の組織内ではBRAF mRNAの増加は2倍程度であった。また、 VEGFの発現増加もあり、エコーで認められる血流増加と関連していると考えられた。他の増殖関連遺伝子としてはJNKやHMGA2が増加しており、その他の増加している遺伝子とともにさらなる検討を要する。
|
Research Products
(3 results)