2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイログロブリン遺伝子異常における甲状腺腫発生機構の解明
Project/Area Number |
19590569
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
家入 蒼生夫 Dokkyo Medical University, 医学部, 教授 (80049220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 昭 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40201727)
|
Keywords | 甲状腺ホルモン合成障害 / びまん性甲状腺腫 / サイログロブリン異常症 / 細胞内輸送障害 / 定量RT-PCR / 遺伝子発現 / 細胞増殖 / MEK-MAPK経路 |
Research Abstract |
小児サイログロブリン遺伝子異常症の特徴は、甲状腺のびまん性腫大と甲状腺機能低下症である。しかし、成人例では甲状腺機能はほぼ正常で、甲状腺は徐々に増大する。一般的には、甲状腺ホルモン合成障害例では血清TSHが高値となり、TSHの過剰分泌によって甲状腺が増大するが、サイログロブリン異常症では血清TSHは正常であるにもかかわらず甲状腺は増大する。その機序は未だ不明であるが、甲状腺組織自体に増大する要因があると考えられる。 サイログロブリンは分泌蛋白であるが、異常サイログロブリンは細胞内を正常に輸送されることなく、小胞体内に滞まって、コロイド腔に分泌されることはない。異常蛋白が小胞体に蓄積されると細胞はアポトーシスを起こすが、甲状腺では甲状腺腫が増大し、甲状腺癌の発生母地となる。我々は、マイクロアレイ、RT-PCRを用いた検討で、MEK-MAPK経路が非常に活性化されているので異常サイログロブリン細胞内では細胞分裂がアポトーシスを上回っていると結論された。異常サイログロブリン発現組織内の遺伝子をプロファイリングした結果、HMGA2やTWF1等複数の遺伝子の発現が大幅に増加していることが明らかになった。 本年度は、HMGA2、TWF1、MAPK1、PCNAの発現ベクターをそれぞれ作成し、FRTL5甲状腺細胞に発現させることにより、発現経路の解析を行った。その結果、HMGA2はTWF1、MAPK1、PCNAすべてにより発現増加し、逆に、TWF1はいずれの遺伝子にても発現刺激は認められなかった。以上より、HMGA2はMEK-MAPK経路のさらに末梢で細胞増殖に関与していることが示唆された。
|
Research Products
(16 results)