2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規腫瘍マーカー尿中ジアセチルポリアミンの臨床的意義および生化学的基礎の解明
Project/Area Number |
19590570
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
川喜田 正夫 Kogakuin University, 工学部, 教授 (00012740)
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Keywords | 尿検査 / 腫瘍マーカー / 肺がん / ポリアミン / ジアセチルスペルミン / 膵臓がん |
Research Abstract |
尿中ジアセチルスペルミンの腫瘍マーカーとしての臨床的有用性を明らかにし、実用的な新規腫瘍マーカーとして確立することを目的として、前年度に引き続き尿中ジアセチルスペルミンの高性能迅速測定法の開発およびジアセチルスペルミン値の測定を行った。以下に本年度の結果の要約を示す。(1)ジアセチルスペルミン特異抗体を用いた金コロイド凝集法による尿中ジアセチルスペルミン自動分析試薬の開発をさらに進め、研究用試薬として発売可能な試薬キットの開発に成功した。(2)この試薬を用いて、多数の健常者を対象に尿中ジアセチルスペルミン値の測定を行い、腫瘍マーカーとして利用する際のカットオフ値(健常者平均値+2S.D.)の評価を行った。その結果、男性954名について0.107+0.087=0.194、女性232名について0.138+0.098=0.236(μmol/gクレアチニン)の値が得られ、健常者のジアセチルスペルミン値には有意の男女差があることが明らかになった。このことは、今後の実用化の過程で重要な意味を持つ事実であると考えられる。(3)非小細胞肺がん(NSCLC)患者の尿中ジアセチルスペルミン値を測定した結果、ジアセチルスペルミンの陽性率は腺がんに対してはCEAと同等でCYFRAより高く、扁平上皮がんに対してはCYFRAと同等でCEAより高く、汎用性が高いマーカーであることが明らかになった。(4)膵臓がんにおける尿中ジアセチルスペルミンの陽性率について検討した結果、0期およびI期の膵臓がんに対して、既存のマーカーであるCA19-9と比較して高い陽性率を示すことが明らかになった。これらの結果は、尿中ジアセチルスペルミンが汎用腫瘍マーカーとして、各種のがんの診断指標として優れた有用性をもつことを示す結果であると考えられる。
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Research Products
(3 results)