2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍マーカーモノクローナル抗体の遺伝子組換え植物による大量発現系の構築
Project/Area Number |
19590573
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐藤 浩之 Toho University, 理学部, 准教授 (80187228)
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Keywords | 遺伝子組換え植物 / モノクローナル抗体 / PIVKA-II / AFP / plantibody / 腫瘍マーカー / ペルオキシダーゼ / ワサビ |
Research Abstract |
本研究では、臨床検査に用いられるモノクローナル抗体を植物中において大量生産する事を目的としている。この発現系の利点は、生産の低コスト性と安全性にある。モノクローナル抗体を発現する遺伝子組換え植物株を作出すれば、その種子を畑に播くだけで植物は生長し、ハイブリドーマの培養に使われる高価なウシ胎児血清や、無菌管理された大型の培養装置などが不要になる。無菌培養技術も必要なく、一般的な農家の技術で良い。この事により、きわめて安全なモノクローナル抗体を、きわめて低いコスト(従来の1/100~1/1000)で生産できると期待されている。 我々は前に腫瘍マーカー検査として頻用されているPIVKA-IIおよびAFPのモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作成しその力価および特性を検討した。得られた株は非常に高い特異性を有する事が確認されたが、実用化されているものと比べて、かなり力価が低い抗体であった。さらに別のハイブリドーマ株を作成し、AFPに関しては新たに2株のハイブリドーマを得る事ができた。AFPに対する特異性を検討したところ、抗原としたペプチドを正常に認識し、検査への有用性が示唆された。また、前に得られているPIVKA-II抗体産生ハイブリドーマ株からγグロブリンcDNAをクローニングし、そのH鎖およびL鎖を連結したscFvを作製した。それらを植物(タバコ)へ導入するべくAgrobacterium tumefaciens用のバイナリーベクターへのサブクローニングも行った。 また、本研究のもう一つの目的は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)よりも酵素化学的性能の高い日本ワサビペルオキシダーゼ(WRP)のcDNAをクローン化し、それを遺伝子レベルでグロブリンcDNAと連結して、2次抗体の不要な抗体分子を作成する事である。現在得られている多数のWRPのcDNAの中で最も比活性の高いと思われるアイソザイムを精製し、その配列をMS/MS解析で決定する事に成功した。
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