2008 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの活性化を指標とした動脈硬化症における不安定プラーク検出法の開発
Project/Area Number |
19590575
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
桝田 緑 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (50173753)
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Keywords | 臨床検査 / ELISA / CD16 / マクロファージ / 可溶性FcγレセプターIIIa |
Research Abstract |
IgGレセプターIII(FcγRIII:CD16)には、NK細胞とマクロファージ(Mφ)に発現しているIIIa型と、好中球に発現しているIIIb型があり、両者とも細胞の活性化によって細胞表面から放出され、可溶型(sFcγRIII)として血漿中に存在している。すなわち、これら可溶型を個々に測定することにより、生体内での好中球,NK細胞あるいはMφの活性化を知ることができる。そこでIIIa型およびMφ由来のIIIa^<Mφ>型に特異的なモノクロナル抗体を作成し、血漿中のsFcγRIIIaおよびsFcγRIIIa^<Mφ>測定法を構築した。 動脈硬化症を来たすプロセスでは、特に酸化変性LDLがMφに際限なく取り込まれて動脈硬化の初期病変である泡沫細胞の集積をもたらし、ついには多量の脂質を含む不安定なプラークとなる。sFcγRIIIa^<Mφ>測定が生体内におけるMφ活性を表すことに着目し、血漿sFcγRIIIa^<Mφ>を測定したところ、健常者では加齢とともに増加した。成人病検診症例では動脈硬化症のリスクファクターが増すに従い増加し、頸動脈エコー検査の結果とよく相関した。虚血性心疾患症例では明らかな高値を示し、冠動脈の有意狭窄数が増すに従い増加した。また、動脈硬化病変の認められる腎生検施行患者では血漿sFcγRIIIa^<Mφ>は健常者の約4.8倍であったが、びまん性よりも局所性の方が高値を示した。頸動脈エコー検査施行患者では総sFcγRIII、sFcγRIIIaは健常者と同程度であったが、sFcγRIIIa^<Mφ>は正常群、石灰化プラーク群、不安定プラーク群、混合群の順に高値を示した。また、sFcγRIIIaはIMTやプラークの大きさとsFcγRIIIa^<Mφ>は狭窄率と正の相関を示した。sFcγRIIIa^<Mφ>とプラークの大きさは石灰化群、不安定プラーク群内では正の相関を示したが、混合群内では負の相関を示した。
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