2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群と動脈硬化症に共通する炎症関連因子の分子疫学研究
Project/Area Number |
19590581
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村松 正明 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (50230008)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮木 幸一 京都大学, 医学研究科, 講師 (20327498)
沢辺 元司 (財)東京都高齢者研究福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (30196331)
|
Keywords | ルタボリック症候群 / 郵脈硬化 / 遺伝子多型 / 炎症 / サイトカイン / 肥満 / ホモシスチン / 遺伝子-環境因子交互作用 |
Research Abstract |
メタボリック症候群も動脈硬化もその病態の根底には持続的で低レベルの全身的な炎症反応が関与していることが、近年のモデル動物等を用いた研究から明らかになってきている。しかし炎症関連遺伝子がどのように、実際のヒト疾患と関連しているかは、必ずしも明らかにはなっていない。そこで本年は、病理的動脈硬化の進展と炎症性サイトカイン、TNFα、IL-1, TGFbetaの遺伝子多型の関連を検討した。その結果、炎症性サイトカインの高発現アレルは概ね動脈硬化の進展を促進することが明らかにした。同時に、遺伝子多型の影響は動脈ごとに異なることが明らかになった。このことは今後動脈硬化の進展に関しては、動脈毎の生理学的な違いを検討する必要性があることを示唆している。一方、メタボリック症候群に関しては、IL-6レセプターの非同義多型が日本人の中心性肥満と関連していることを明らかにした。更に、この関連においては食事エネルギー摂取量との交互作用を起こしていることが明らかとなった。即ち、エネルギー摂取量の多い群では相関は見られたが、エネルギー摂取の少ない群では相関が見られなかった。このことは一般に欧米に比べて日本ではエネルギー摂取量が少ないことを考慮すると、他人種で行われた遺伝子多型解析を日本で追試研究を行う場合に、ライフスタイルや環境因子を含めて解析することの必要性を示唆している。また血中ホモシスチンは独立した動脈硬化促進因子であり、MTHFR遺伝子多型が大きな影響を及ぼすことは既に良く知られているが、今回、葉酸代謝パスウェイのNNMT遺伝子多型が血中ホモシスチンと相関することを明らかにした。ここでも血中葉酸値との交互作用が認められ、葉酸値が低い群においてのみこの相関が認められた。以上のことは遺伝子多型と表現形質の関連を研究するにあたって、環境因子の考慮が重要であることを示している。
|
Research Products
(4 results)