2008 Fiscal Year Annual Research Report
アスベスト肺に対する常在細菌の急性増悪作用に関する研究
Project/Area Number |
19590592
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
日吉 孝子 University of Shizuoka, 看護学部, 講師 (90405580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市瀬 孝道 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50124334)
山元 昭二 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスクセンター, 主任研究員 (40230552)
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Keywords | アスベスト / 肺線維症 / 感染実験 / マウス |
Research Abstract |
平成20年度は、アスベスト投与によって誘発した肺線維化マウスに対する2種細菌の急性炎症増悪作用について検討した。ICRマウスに、アスベスト(クロシドライト、アモサイト)を2週間おきに計4回曝露して二次的に低肺モデルを作成した。アスベストの最終投与の翌週に黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌を曝露し、その翌日に屠殺して、気管支肺胞洗浄(BAL)中の炎症細胞数と病理組織変化について調べた。その結果、BAL中の炎症細胞数は、対照群、アスベスト群ではほとんど変化がなかったが、肺炎桿菌および肺炎桿菌+アスベスト群では好中球数が増加しており、特にアモサイト併用投与群では著しい増加が見られた。黄色ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌+アスベスト群では好中球よりもマクロファージ数が増加しており、その数はアモサイト群のほうが多かった。病理学的には、アスベスト単独群では肺胞や線維化病巣への好中球浸潤が観察された。肺炎桿菌単独群と肺炎桿菌+アスベスト群では肺実質組織に好中球やリンパ球の浸潤が認められ、その炎症はアモサイト併用投与群で強かった。 以上、アスベストを継続的に曝露すると肺の線維化と共に好中球性の炎症が起こるが、更に肺炎桿菌に急性曝露されると炎症が悪化する。その炎症はアモサイト併用投与群においてより強いことが示された。
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