2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトCYP遺伝子多型における個体感受性を定量化するモデルマウスの作成
Project/Area Number |
19590599
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
立道 昌幸 Showa University, 医学部, 准教授 (00318263)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / 遺伝子多型 / 動物モデル |
Research Abstract |
チトクローム450などの薬物代謝酵素は、薬物の作用ならびに副作用の発現に重要であるだけでなく、環境中に存在する多くの化学物質(環境変異物質xenobiotics)を代謝的に活性化して、発癌に深く関与する。特にCYP1A1は代表的な発がん物質活性化酵素であり、この酵素により多くの環境変異原物質が活性化をうける。しかし、この酵素は動物差が存在し、これまで生化学的にin vitroでの機能解析において、顕著に活性が異なることが知られている。従ってこの種差の影響により、同じ発がん物質に曝露してもヒトとの間に発癌物質の感受性に差をもたらしている。このことにより、発がん物質の評価にマウス等の齧歯類が用いられているが、その結果が容易にヒトに外挿化できない大きな理由の一つであると考えられている。またこれらの遺伝子には遺伝子多型が存在し代謝活性に影響を及ぼすと考えられているが、実際in vivoでの検討は出来ていない。そこで、本研究は第一にヒト型のCYP1A1を組み入れたマウスを作成すること、第2に遺伝子多型による個体差をin vivoで評価する系を確立するため、遺伝子多型を含んだヒト変異型hCYP遺伝子(cDNA)と置換したマウスを作成し、環境変異物質に対する感受性の差異を定量化することを目的とした。H20年度は、実際、hCYP1A1 cDNA knock-in mouse作製を行うため、H19年度で作成した遺伝子多型exon7のIIe/IIe(wild type), Val/Val(SNP)の2つの遺伝子型を持つtargeting vectorを、マウスES細胞に注入して、キメラマウスを経てF1マウスを得た。尚、マウスゲノム上CYP1A1の構造は、exon1〜7から成り、exon2内start codonからexon7まで全てを、human CYP1A1 CDS+3' UTRを挿入することで、mouse CYP1A1の発現をknock-outし、exon7に遺伝子多型を含むhuman CYP1A1をknock-inした。当研究で作成したヒト型CYP1A1を持つマウスを用いることにより、発がん感受性試験の結果がよりヒトに対して有用な情報を提供するものと思われる。
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