Research Abstract |
研究では,研究代表者および研究分担者が従事する日本人を対象とした大規模な疫学研究と,新たに形成する短期間のコホート研究により,職業階層による健康格差がわが国の労働者において観察されるのか,その際,職業階層と健康問題の関係を職業性ストレスが説明しうるのか,を循環器疾患罹患,がん罹患,全死因、心因別死亡および抑うつをアウトカムとした前向きの解析によって明らかにすることを目的としている。 初年度にあたり,当該課題に関する先行研究のレビューを行い,これを学会誌に発表した。 地域と職域で行われている大規模コホートで一部未了であった追跡データ(死因)は最終確認を行った。このコホートデータにおいて循環器疾患罹患,全死因,死因別死亡および循環器疾患発症をアウトカムとした予備的な解析を行ったところ,循環器疾患の罹患、死亡については教育暦が有意に関与すること,脳卒中罹患と死亡には,職業階層(ホワイトカラーよりブルーカラーにおいて発症リスクが高い)と職業性ストレスの関与が伺われること,また,職業性ストレスの影響は職業階層の下位の集団でより強いことを認め,以上を学会発表した。 新規コホート調査のためのJCQおよび努力-不均衡モデル調査票に加えて,職業分類,職階,さらに,その他,保健行動,社会経済要因(学歴,収入)などの項目を備えた調査票を作成した。新規調査対象事業場の医師(産業医)に追跡データの収集について協力を依頼し,協力の得られた事業揚の担当者と研究グループとの会議を開催した。実際の調査手順に関する打ち合わせのなった新規コホート(約3500人規模)においてベースライン調査に取り掛かった。他地区の調査対象候補とも打ち合わせを継続している。
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