2008 Fiscal Year Annual Research Report
職業階層と健康格差の関連性およびその機序としての職業性ストレスに関する疫学的研究
Project/Area Number |
19590607
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
堤 明純 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 産業医実務研修センター, 教授 (10289366)
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Keywords | 職業階層 / 健康の社会格差 / 職業性ストレス / 循環器疾患 / 死亡 / 教育暦 / コホート研究 / 社会経済要因 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者および研究分担者が従事する日本人を対象とした大規模な疫学研究と、新たに形成する短期間のコホート研究により、職業階層による健康格差がわが国の労働者において観察されるのか、その際、職業階層と健康問題の関係を職業性ストレスが説明しうるのか、を循環器疾患罹患、がん罹患、全死因・心因別死亡および抑うつをアウトカムとした前向きの解析によって明らかにすることを目的としている。 JCQおよび努力-不均衡モデル調査票に加えて、職業分類、職階、さらに、その他、保健行動、社会経済要因(学歴、収入)などの項目を備えた調査票を用いて新規コホートにおいてベースライン調査を開始した。これまでのところ、製造業を中心とする3つの異なる事業場3768人から前向き調査の同意を得た。収集分データにつきデータクリーニングを行い、ベースラインデータの解析を行った。心理社会尺度の信頼性は中等度から良好であった。予測通り、職位の低いグループおよび低収入のグループは、対照群に比べて抑うつ状態の頻度が多いことが認められた。 既存のデータベースからは、職業性ストレス(ストレイン)は男女とも、高要求度プラス低コントロールからなるストレインの頻度は、職業階層が下位と想定されるブルーカラー労働者および管理職・経営者でない労働者において高いこと、男性ではホワイトカラー労働者に比較してブルーカラーに、女性では管理職・経営者ではない労働者において血漿フィブリノゲンが高いこと、さらに、男性労働者において、職業性ストレス(ストレインと要求度)が血漿フィブリノゲンと関連し、職業階層と循環器疾患を結ぶメカニズムとして考慮されることを発表した。
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