2007 Fiscal Year Annual Research Report
室内空気中化学物質による核内受容体を介した内分泌・ストレス・薬物代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
19590610
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小島 弘幸 Hokkaido Institute of Public Health, 健康科学部, 研究主査 (10414286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 伸治 北海道立衛生研究所, 健康科学部, 研究職員 (20414287)
小林 智 北海道立衛生研究所, 健康科学部, 生活保健科長 (00414285)
千葉 真弘 北海道立衛生研究所, 健康科学部, 研究職員 (90414292)
伊藤 俊弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20271760)
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
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Keywords | 環境保健 / シックハウス症候群 / 化学物質過敏症 / 核内受容体 / レポーター遺伝子アッセイ / 室内空気 / エストロゲン受容体 / アンドロゲン受容体 |
Research Abstract |
シックハウス症や化学物質過敏症患者宅の室内空気を捕集し、ガスクロマトグラフ/質量分析(GC/MS)法により約70種類の化学物質を同定するとともに、これまで文献上で報告されている約140種類の室内空気中化学物質と合わせて約200種類の揮発性有機化合物(VOCs)をリストアップした。これらの化学物質には、有機リン系や臭素系難燃剤、フタル酸エステル類、パラベン類、ベンゾフェノン類、有機リン系やピレスロイド系殺虫剤、木材から放出されるテルペン類が含まれている。標準品として入手可能であり、揮発性が極めて高い物質(沸点100℃以下)を除く約100物質について、内分泌に関わるエストロゲン受容体(ERα・ERβ)、アンドロゲン受容体(AR)、甲状腺ホルモン受容体(TRα・TRβ)の各種核内受容体及び薬物代謝酵素CYP1A誘導に関わるダイオキシン受容体(AhR)を介した作用をレポーター遺伝子アッセイ法により調べた。 いくつかの物質からERα/βアゴニスト作用やARアンタゴニスト作用を検出した。とくに難燃剤・可塑剤の中には、ERα/βアゴニスト作用とARアンタゴニスト作用を併せ持つ物質が認められた。また、テルペン類には、ERβアゴニスト作用が認められた。一方、TRα/βやAhRを介する作用は、ほとんど認められなかった。さらに、本研究ではストレス応答に関わるグルココルチコイド受容体(GR)、薬物代謝酵素CYP3A誘導に関わるプログネノロンX受容体(PXR)、薬物代謝酵素CYP4A誘導に関わるペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPAR)α、脂質代謝に関わるPPARγの各種核内受容体活性を検出するためのレポーター遺伝子アッセイ法を確立した。 最終年度に、これら受容体への作用を検討し、作用の強い物質についてはマウスへの投与によるin vivoでの影響も検討する予定である。
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