2009 Fiscal Year Annual Research Report
虚弱高齢者のふらつき・転倒と血清ビタミンD濃度との関連及び介護予防の介入研究
Project/Area Number |
19590621
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥野 純子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50360342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 久子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (10241811)
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Keywords | 介護予防 / 血清ビタミンD / 特定高齢者 / 身体機能 / 腎機能 |
Research Abstract |
平成21年度は平成19年度から実施している介護予防教室に参加した特定高齢者を対象に運動と栄養の包括的プログラムの効果をまとめた。1)ア:多様な食品摂取をしている者はそうでない者に比し、身体機能が有意に高かった。イ:教室で栄養指導を組み入れることで食品摂取が改善・維持した群は、悪化した群に比し有意に身体機能が改善した。ウ:隣接した市の介護予防の運動のみを提供している(対照群)参加者と、我々の包括的プログラム(運動+栄養)(介入群)の参加者の身体機能を比較した場合、介入群は対照群に比し身体機能の開眼片足立ち・Timed up and goが有意に改善していた。2)教室参加者でビタミンDを服用していない者にalfacalcidol 1μg/日(ビタミンD)と乳酸カルシウム4g/日を3ヵ月間提供し身体機能との関連をみた。血清25(OH)D濃度とバランス能力とは関連があることが明らかになった。また、25(OH)Dの至適濃度については、最近75nmol/L以上が好ましいといわれている。我々も対象者の75%タイル値で検討した結果、開始時25(OH)D濃度の75%タイル値以上を維持している者は身体機能が維持・改善し、高濃度の血清25(OH)D濃度を維持することが重要であることが明らかになった。しかしビタミンDは季節変化があるため、季節による影響を検討した場合、冬季はビタミンD非補充者は、血清25(OH)D濃度は有意に低下するが、alfacalcidol 1μg/日(ビタミンD)を3ヵ月間服用した場合、開始時の血清濃度を維持でき身体機能も維持できていた。冬季に開始する介護予防教室の場合、ビタミンDの補充も考慮しながら教室のプログラムを提供することが重要であることが示唆された。3)25(OH)D濃度の最終活性物質である1,25(OH)_2D濃度は腎機能と関連があることから、クレアチニンからGFRを計算して検討した。eGFR<60ml/minの特定高齢者は約30%おり、eGFRとバランス能力と関連があり、腎機能も考慮することが必要であることが示唆された。
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