2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本版NCATS簡易尺度の開発および臨床場面での有用性に関する研究
Project/Area Number |
19590623
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺本 妙子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・保健衛生学研究科, 特任助教 (20422488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 たい子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (10156713)
岡光 基子 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助教 (20285448)
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Keywords | 日本語版NCATS / 簡易版 / 親子相互作用 / 親子の関係性 / アセスメント |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の予備研究での問題点をふまえ,より多くのデータで日本語版NCATS(JNCATS)簡易版を作成し,信頼性・妥当性を検討した。母子相互作用場面(397件)をアセスメントしたJNCATSデータを基に,因子分析と専門家への質問紙調査の結果から簡易版(31項目)を作成した。α係数(KR-20)は. 82,日本語版原版(フル・スケール)得点との相関係数はr=.94(P<.001)といずれも高く,本簡易版の信頼性が示唆された。また,児の発達アセスメント結果(DQ=100以上を発達促進群として0, 100未満を非促進群として1を割り当てた)と簡易版得点との点双列相関係数はr=-.12(p<.05)となり,促進群の方が高得点(母子相互作用が良好)であることが認められ,併存的妥当性が示唆された。しかし,児の発達と母親の教育年数の2側面を判定基準に設定した場合,児の発達に関するスクリーニング用具としての敏感度(.11)も,教育年数が短い母親(原版NCATSに関する先行研究において高リスクと指摘されている)に関するスクリーニング用具としての敏感度(.06)も不十分であった。この結果は,スクリーニング用具としての本簡易版の妥当性に疑問を投じるものである。本簡易版はスクリーニング用具として十分ではないが,これは本研究の手続き上の不備を示唆するものでも,原版NCATSの評価を損なうものでもない。元来, NCATSは行動科学に基づく行動観察による尺度であり,簡易版開発の困難は予測に難くない。本研究の結果は,簡易版ではなく尺度全体(フル・スケール)の使用の必要性を示唆するものと捉えられる。今後のJNCATSの臨床場面での普及促進のためには,訓練体制やコンサルテーション体制の整備,すなわち,ユーザー支援ネットワークの整備が必要不可欠と考えられる。
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