2007 Fiscal Year Annual Research Report
健常成人集団で腹部脂肪蓄積が血管内皮機能に及ぼす影響の分析化学的・生理学的評価
Project/Area Number |
19590626
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 Nagoya University, 医学部, 准教授 (00195900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 純 名古屋大学, 医学部, 助教 (00397465)
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Keywords | 血管内皮機能 / 一酸化窒素 / プレチスモグラフ / 腹部脂肪 / 酸化ストレス / カロテノイド |
Research Abstract |
フィールド研究として約600名の健常成人を対象に行った断面調査の結果、女性では腹囲が血清一酸化窒素代謝産物(NO_x)と負の、8-iso-prostaglandin F_2αとは正の有意な関連性を示した。このことから腹部脂肪の蓄積は血管内皮機能の低下をもたらし、またそこには酸化ストレスの上昇が関与している可能性が示唆された。さらにこの集団での血清カロテノイド類の一部は血清NO_xとの間に正の関連性を示したことから、抗酸化作用を有するカロテノイド類も血管内皮機能の維持や改善に関与している可能性が示唆された。しかしながらメタボリック危険因子の集積は予測に反して血清NO_xと正の関連性を示したことから、NO_xにはメタボリックリスクの上昇に対する防御反応として意義もあると考えられる。 実験的研究として20歳代の健常者30名を対象にストレンゲージプレチスモグラフ(SPG)を用いた血管内皮機能検査を行い、日内変動や日差変動を検討した結果、個人差はあるものの、SPGは再現性が高いことが示された。しかしながらSPGによる反応と血清NO_xとの間に有意な関連性は認められなかった。若年健常人では優れた血管内皮機能が維持されているため虚血によるSPG反応の効果サイズが十分でなく、検出力が不足したと考えられる。本研究では20歳代の10名の被検者での有酸素運度負荷が血清NO_xに有意な変動をもたらさないことも明らかにされ、若年者の血管機能は適応力に優れているといえる。したがって今後は血管内皮機能障害の有症率が高いと推定される中高年者集団の測定値との比較が必要と考えられる。
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