2008 Fiscal Year Annual Research Report
健常成人集団で腹部脂肪蓄積が血管内皮機能に及ぼす影響の分析化学的・生理学的評価
Project/Area Number |
19590626
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 Nagoya University, 医学部, 准教授 (00195900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 純 名古屋大学, 医学部, 助教 (00397465)
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Keywords | 血管内皮機能 / 一酸化窒素 / プレチスモグラフ / 腹部脂肪 / 酸化ストレス / カロテノイド |
Research Abstract |
フィールド研究として約600名の健常成人を対象に行った断面調査の結果、抗酸化物質である血清カロテノイド値とメタボリック危険因子の集積との間には負の関連性を認め、酸化指標である8-iso-prostaglandin F2αとは正の有意な関連性が認められた。また個別の危険因子との関連性では、男性では高血圧がカロテノイド値と強い関連性を示した。このことから腹部脂肪の蓄積を伴うメタボリック症候群では酸化ストレスが上昇し、血管内皮機能を障害している可能性が示唆された。また血清カロテノイド値は閉経後女性で骨密度と有意な正の関連を示したことから、抗酸化物質による酸化ストレス中和が血管内皮以外の部位においても防御的作用を発揮している可能性が示唆された。 実験的研究として20歳代の健常者10名を対象にストレンゲージプレチスモグラフ(SPG)を用いた血管内皮機能検査を行い、日内変動、日差変動や1週間連続での1日1万歩歩行運動不可による影響を検討した。個人差はあるものの、歩行負荷による急性の効果としては、血流量変化率が上昇する傾向にあるものの有意な変化ではなかった。しかしながら対象者が若年健常人であるため血管の順応性が優れており、1週間の歩行運動程度の負荷では効果が現れにくかったと考えられる。従来SPGは治療効果や薬物投与に対する反応など臨床的評価に利用されてきており、健常人での運動による血管内皮機能への影響を明らかにした報告が見あたらないことから、本研究成果は有意ではないものの新規性を含んでおり、今後の負荷時間を増加させた長期的影響の評価研究へとつながるものである。
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