2009 Fiscal Year Annual Research Report
健常成人集団で腹部脂肪蓄積が血管内皮機能に及ぼす影響の分析化学的・生理学的評価
Project/Area Number |
19590626
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (00195900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 純 名古屋大学, 医学部, 助教 (00397465)
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Keywords | 血管内皮機能 / 一酸化窒素 / プレチスモグラフ / 腹部脂肪 / 酸化ストレス / カロテノイド / 炎症指標 |
Research Abstract |
腹部脂肪蓄積を主徴候とするメタボリックシンドローム(MetS)の進展には、低度の炎症反応が関与していることが、従来明らかにされている。そこで炎症反応と指標として高感度CRPと白血球数を用い、腹部脂肪蓄積との関連性と、血清脂肪酸構成との関連を明らかにする調査を行った。対象者としては、550名(男性218名、女性332名)の健常成人から同意が得られた。血清脂肪酸としては各種の飽和脂肪酸、単価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(n3系とn6系)の測定をメチル化処理後にガスクロマトグラフィを用いて行った。また食事との血清脂肪酸との関連を明らかにするため、食物摂取頻度調査(FFQ)を実施し、脂肪酸摂取量推定値を求めた。統計解析の結果、血清脂肪酸構成と食物摂取頻度調査との関連は、総n6/n3比を除いて有意な関連を示さなかった。MetS進展と脂肪酸構成との関連に関する解析では、男女ともに、パルミチン酸の有意な増加傾向が見られた。また、リノール酸と総n6脂肪酸はMetSの進展に相関して有意に減少した。炎症指標との関連では、男性で脂肪酸構成と炎症指標との間に有意な関連を示す脂肪酸は認められなかった。しかし女性ではパルミチン酸、オレイン酸、単価不飽和脂肪酸が炎症指標と有意な正の関連を示し、総n3脂肪酸やDHAが負の相関を示した。本調査の結果、血中の脂肪酸の構成は、MetSに関連する低度炎症反応と相関を持つことが示唆された。しかしMetSの進展にはn6系脂肪酸との負の関連が認められたことから、脂肪酸の関与に関する機序には、実験的な条件とは異なる因子の関わりも考えられる。
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